ムネリンの置き土産はアジア一!

 メジャー挑戦を決断したソフトバンク川崎宗則内野手(30)はアジアシリーズ優勝を宣言し、チームとともに台湾に渡った。25日開幕の同シリーズを制覇し、30日にFA宣言する見込み。アジア王者の肩書きを手にして、米国へ羽ばたくつもりだ。

 最後の大仕事が残っている。メジャー挑戦を決断した川崎が、ソフトバンクのユニホームを着て最後の真剣勝負に臨む。福岡空港で堂々とアジアシリーズ制覇を宣言した。

 「スローガンの『ダ』の一番大きな意味はアジア一になるん『ダ』ということ。そのために1年間、プレーしてきたわけだから。日本一の次はアジアシリーズに優勝すること」

 最高のシナリオを描いている。まずは全勝でアジアシリーズの予選を突破。29日の決勝戦で快勝しアジア王者に輝く。そして、FA権行使の期限日となる30日にFA宣言し、メジャー挑戦を表明することだ。

 「まだアジアシリーズが残っているから」と日本一が決まった20日でさえ、海外FA権行使については明言を避けた。気持ちは固まっているが、まだ鷹のユニホームを着てなすべきことがある。

 「台湾のファンにも最高のプレーを見せたいね」

 国際試合の経験は豊富だ。06、09年とWBCに2大会連続で出場し世界一に輝いた。08年北京五輪では4位。国際試合の怖さ、勝った時の喜びを知る。それだけに気合も一層入る。

 シーズン中にはマリナーズなど米大リーグの複数球団が視察に訪れ、川崎のプレーをチェックしていた。本人もメジャー挑戦の決断もしている。だが、最後に大きな勲章を最も愛着のあるホークスに置いていく。「チェスト!」と叫ぶ川崎のソフトバンクのユニホーム姿が見られるのはあと4試合。完全燃焼し、新たな舞台に旅立っていく。<川崎の国際試合>

 ◆06年WBC

 遊撃手で起用され、優勝に貢献。決勝キューバ戦で9回にイチローの適時打で二塁からホームへ。ブロックのすきまに右手を入れ「神の右手」と言われたが、右肘を負傷した。この時からイチローを心酔する。

 ◆08年北京五輪

 左足の負傷を抱えながらの出場で、遊撃は主に西武中島が守った。出番に恵まれずに4位でメダルを逸した。

 ◆09年WBC

 遊撃は主に中島が守り三塁手として5試合に出場。2大会連続での優勝に輝いたチームに攻守で貢献。