4番OK!

 阪神鳥谷敬内野手(30)が7日、東京都内でナイキ社のイベントに参加し、和田新監督が披露した「有事の4番プラン」に柔軟に対応する考えを明かした。今季チーム最多の16盗塁を記録し、来季は自身初の20盗塁超えも視野に入る。走れる4番が実現すれば、他球団の脅威となるのは間違いない。

 鳥谷は「エッ!?」と目を丸くした。用具提供を受けるナイキ社のイベントに参加後のことだった。和田監督の「鳥谷4番プラン」を伝え聞いた。「ない、ない。もっと他に打つ人がいると思います」と前置きした上で、冷静な表情に戻った。

 鳥谷

 求められればね…。打順は何番でも関係ない。自分のスイングをすることが大事なので。

 新指揮官は11月下旬に初めて、鳥谷4番の可能性に触れた。もちろん、基本は新井。ただ万が一の場合「4番を打ってもらうかもしれない」と説明していた。

 聖望学園、早大時代は3番打者。自らを「ホームランバッターじゃない」と評し、現在も3番を主戦場とする。プロ8年間で4番だけは経験がない。それだけに指揮官の考えに驚きを隠せなかったが、そこは野手キャプテン。チームのためなら、打順にこだわらず初の重責もこなす覚悟だ。

 実現すれば、従来の4番像は覆される。今季セ・リーグの4番打者は巨人ラミレスにヤクルト畠山、横浜村田…。パ・リーグに目を移しても西武中村など重量級が並ぶ。12球団を見渡しても走れる4番はまれ。機動力を重視する和田野球の象徴になるのは間違いない。

 鳥谷

 甲子園は浜風もあるし、外野の間を抜けると思って捕られたことが結構あった。去年みたいに打って打って、というのはなかなか出来なかった。

 トークショーでは統一球が導入された今季をそう振り返った。全試合出場で打率3割をクリアし、出塁率3割9分5厘、7三塁打はともにリーグトップ。自己最多&チームトップの16盗塁を決めた。たとえ4番を任されようと、出塁、走塁への向上心に変化はない。

 鳥谷

 1つでも先の塁を目指すことは変わらない。全力疾走でも相手守備にプレッシャーをかけられる。(盗塁の)サインが出ていなくても、大きいリードでバッテリーに重圧をかけたり、やることはたくさんある。そこ(20盗塁)を目指してやることはないけれど、終わった時にそうなれば。

 1番、3番、そして4番。V奪回のキーマンとして慎重に打順を検討されるが、意識にブレはない。打てて走れる。それが変わらぬ理想像だ。【佐井陽介】

 ◆4番ショート

 主砲である4番と、守備の要である遊撃手を両立させるのは難しい。昨年は西武中島が23試合、日本ハム二岡が1試合守ったが、今季は12球団でゼロ。日本ハム田中(現コーチ)が95年から07年まで計310試合守っているが、100試合以上務めた例は極めて少ない。ヤクルト池山も90年に11試合守っただけ。メジャーでもヤンキースのアレックス・ロドリゲスらの例はあるが、珍しいケースだ。