ソフトバンクが「杉内流出余波」に見舞われた。FA宣言して巨人に移籍した杉内俊哉投手(31)と交渉していた小林至取締役編成育成部部長(43)が20日、責任をとって役職辞任した。海外担当・中長期戦略担当部長に異動。後任の編成育成部長には元同部長補佐の石渡茂氏(63)が就く人事が発表された。

 杉内は19日の退団会見で、球団幹部から「FAしても名乗りを上げる球団はない」と言われたことを涙ながらに暴露。球団への不信感がぬぐえなかったと説明した。球団には抗議の電話やメールが殺到。インターネットでも批判が噴出し、孫正義オーナーもツイッターで「責任者への厳罰」の示唆をつぶやいていた。

 東京から福岡に飛んで慰留した笠井オーナー代行に対し小林氏は「杉内投手が残留できなかった点と、ファンにご迷惑を掛けることになった責任を取りたい。不用意な発言で杉内投手にご迷惑をお掛けした。誤解を生む発言をしてしまった」と話していたという。王球団会長は「相談されれば止めていた。こういうこと(インターネットの中傷など)で人事が動くことは危険なこと」と戸惑いを隠せなかった。

 ◆小林至(こばやし・いたる)1968年(昭43)1月30日、東京都生まれ。神奈川・多摩高から東大進学。投手としてドラフト8位入団したロッテに92年から所属。だが1軍登板はないまま2年で現役引退。96年に米コロンビア大でMBA(経営学修士)取得。その後、通訳、江戸川大助教授などを経て05年からソフトバンクの取締役を務めた。現役時代は左投げ左打ち。175センチ、89キロ。