アッキャマンが“ゴロマニア”になる!

 阪神秋山拓巳投手(20)が21日、リーグ戦参加のため派遣されていたオーストラリアから帰国した。現地では小さく打者の手元で変化するカットボールを習得。これまでの奪三振スタイルから、新球で打たせて取るスタイルへ投球の幅を広げる。2年目のジンクスに泣いた悔しさをバネに、来季の巻き返しを狙う。

 温暖な南半球でこんがり日焼けした秋山が、新球を手土産に帰国した。キャンベラ・キャバルリーに所属した秋山は、チームメートからカットボールを習得。06、09年WBCのオーストラリア代表に選出され、米大リーグ・ツインズ3Aでプレーしたこともあるトリスタン・クロフォード投手(29)から、練習初日に新球のレクチャーを受けた。

 秋山

 カットボールを教わった。(試合で)使ってみて、内野ゴロで打ち取れることが多かった。日本のボールでもやってみたい。

 これまでは、大きく変化する球種を投球の軸としていた。巻き返しを狙う来季に向けて、小さく変化する新球カットボールをモノにするつもりだ。カットボールでゴロの山を築き“ゴロマニア”を目指す。

 秋山

 小さい変化をするのも投げたいなと思っていたし、どう投げたらどう変化するかも分かった。感覚をつかみだしているので、しっかりやっていきたいです。追い込んでから三振を狙ったのは1球で仕留めることができた。原点の真っすぐでも空振り三振があった。もっと真っすぐを投げ込まないといけない。

 同リーグでは、すべて先発で4試合に登板し1勝0敗。防御率1・23。長距離移動やファストフードばかりの食事、同僚とのアパート生活という、慣れない環境に戸惑い、日本の統一球とのボール違いにも苦労した。それでも、経験することすべてが若虎にとっては成長の肥やしになった。

 帰国数時間後には、地元・愛媛へ向けて出発。年内はスローイングを控え、年明けから再び本格的に調整する。勝負の3年目、今季未勝利に終わった右腕がオーストラリア土産を武器に、輝きを取り戻す。【岡本亜貴子】

 ◆オーストラリア・リーグ

 昨年にオーストラリア野球連盟とメジャーリーグ機構(MLB)が出資して、本格的なプロ野球リーグとしてオーストラリアン・ベースボールリーグが発足。アデレード、ブリスベーン、キャンベラ、パース、メルボルン、シドニーの国内6都市に球団を設置し、北半球のシーズンオフである11月から翌年2月まで約50試合のリーグ戦を実施する。

 ◆カットボール

 正確にはカットファストボール。ストレートの握りを少しだけずらして、リリースの瞬間に切る感覚で投げる。ストレートと同じ軌道を描き、最後にバッターの手元で少し曲がるのが特徴。握りをずらすだけか、指をくっつけて投げるかによって、変化の具合が違ってくる。