目指すはカメレオン打線。DeNAの中畑清監督(58)が29日、適応力の高い打者を並べた打線の構築を理想に掲げた。シチュエーションに応じ、いろいろな打撃ができる芸達者をそろえ、相手に考えさせる変幻自在の攻撃が狙い。実現へのハードルは高いが、同監督はやる気満々だ。この日は横浜みなとみらいのクイーンズスクエアに、約5000人のファンを集めて新ユニホームをお披露目。DeNA初代監督がいよいよ戦闘モードに入った。

 幾重にも重なった人の列。新ユニホーム発表会が行われたクイーンズスクエアは、会場過去最多となるファンであふれ返った。熱気に触れた中畑監督は期待の大きさを実感。「選手は見られてなんぼ。応援されてなんぼ。死に物狂いで頑張ります」と、高揚感を抑えることなく、宣言した。

 熱い声援の前で、ぶざまな試合はできない。4年連続最下位からの浮上は当然必須。そのために新監督が掲げたのは、状況に応じてさまざまな攻撃を繰り出すことができる“カメレオン打線”の構築だ。軸となるクリーンアップの前後は、送ってよし、打ってよし、走ってよしの芸達者な役者を並べたい。「シチュエーションに応じて、いかに動くことができるか。変幻自在の攻撃。いろんな色に変化する野球だな」。

 理想は79年から2年連続日本一にも輝いた広島の赤ヘル打線だ。山本浩二、衣笠祥雄という主軸を高橋慶彦、三村敏之ら応用力ある選手が支えた。チャンスメークもできれば、小技も巧み。今のチームでは、その筆頭に「引き出しが多いし、バイタリティーがある」と渡辺直の名を挙げた。しっかりした基礎の上に成り立つ技術力。そして状況に応じた選択を自らできる判断力。渡辺直のような打者がそろえば、戦術は大きく広がり、さらに相手には次の一手を考えさせ、迷いを生じさせることもできる。

 当然、理想の実現はたやすくない。村田が抜け、ラミレスが加わったものの、中軸すら現状では未定。若手を育てながら、勝つための戦力を整えていくのは至難の業だ。しかし、だからこそ「可能性はあるんだよ」と目を輝かせた。

 この日は背広姿だった中畑監督。「(新ユニホームは)気に入ってますよ。できれば一緒に着たかった。肩組んだりできればよかったけど、それはシーズンに取っておくよ」。自分のユニホーム姿お披露目は、2月1日。新たな勝負服に身を包んだ選手たちが、どんな色の攻撃を作り出せるか。その見極めとなるサバイバルキャンプが、いよいよ迫ってきた。【佐竹実】