“ヘビー級対決”のゴングが鳴った。中日トニ・ブランコ内野手(31)が29日、愛知・中部国際空港着の航空機で母国ドミニカ共和国から来日。山崎武司内野手(43)の古巣復帰により、4番一塁をめぐって激しい争いが予想されている。年明け以降の山崎の“宣戦布告”を伝え聞いた大砲も、譲らない構え。体重100キロ超の大物同士が、1つの定位置を巡ってバトルを繰り広げる。

 注目の戦いのゴングが、静かに鳴った。来日した大砲ブランコは、古巣に復帰したライバル山崎について聞かれると、まじめな表情でこう言った。

 「オレは球団に雇われている立場。とにかく、与えられたポジションでベストを尽くすのが仕事なんだ。自分の持っている能力をすべて発揮するだけ。それだけだ」

 まじめで温厚なブランコらしいコメント。ただ、入団から3年間責任感を持って務めてきた“職場”にはこだわりがある。定位置は山崎も希望している一塁。それ以外のポジションを守る可能性について聞かれると「守備は一塁だよ」。自信に満ちた笑みを浮かべながら即答。譲るつもりはない。

 指名打者制のないセ・リーグで2人の共存は難しい。高木新監督も4番一塁を2人で争わせる意向。ブランコは現在112キロ、対する山崎は同101キロ。大砲は2人とも体重100キロ超。迫力はもちろん、球界を代表する実績もある。ブランコは来日1年目の09年に本塁打、打点でセ・リーグ2冠王に輝いた。対する山崎も楽天在籍時の07年にパ・リーグで本塁打と打点の2冠を手にしている。こんな豪華対決はない。まるで、ヘビー級の統一王座決定戦の様相だ。

 ただ、コメントは対照的だ。気合十分で古巣復帰した山崎は年が明けてからここまで、自らを奮い立たせるように「ケンカ」という表現まで使い「ブランコより守れるところを見せた上で打撃で勝負したい」「顔は勝っている(笑い)。勝負はバッティング」などと、刺激的な言葉で対決姿勢を鮮明にしてきた。

 一方で、ブランコには余裕が漂う。「彼はマイフレンド。ナイスガイだし、いい友だちなんだ」。山崎の「顔は勝っている」発言も「ハハハ」と笑って受け流した。

 昨季は夏場に右手中指を痛めて約3カ月間の2軍調整が続いた。とはいえ、リーグ終盤には勝負強い打撃で存在をアピール。リーグ2連覇に大きく貢献したチームの大砲。自信も、自負もある。熱くなり過ぎることなく受けて立つ構え。南国・沖縄のキャンプをリングにしたヘビー級2人の迫力十分の対決。今から楽しみが膨らむ。【八反誠】