西武菊池雄星投手(20)が2日、“サラブレッドボディー”で、ダイナミックフォームを披露した。キャンプ2日目のこの日、初のブルペン入り。渡辺監督を「真っすぐがいい威力をしていた。三振も増えると思うし、もっと勝てると思う」とうならせる投球を見せた。荒々しく、豪快な新フォームで、プロ初の150キロ超えと開幕ローテーション入りを目指す。

 ブルペンに足を踏み入れた瞬間、表情がキリッと引き締まった。荒々しく、ちぎれんばかりに腕を振る菊池が、ブルペン中の視線を独占した。足を高く上げ、腕を上からなげおろすダイナミックな新フォーム。「細かいことは意識せずに、力を入れて投げようと思って」と振り返った61球に、12年シーズンへの進化の兆しが詰め込まれていた。

 周囲の反応が、猛烈デモンストレーションの迫力を物語っていた。渡辺監督は「真っすぐがいい威力をしていた。今のフォームがまとまれば、三振も多く取れる。(右打者の内角への)クロスファイアも生きるし、もっと勝てると思う」と絶賛の言葉を並べた。ボールを受けた岳野捕手も「角度があって、力があった。140キロ以上は出ていたと思います」とキャンプ2日目では異例の140キロ超えに驚いた。

 新フォーム挑戦には明確な理由があった。「去年は納得のいくストレートを投げられなかった。アンダースローでも、サイドスローでも、とにかくいい真っすぐを投げたいんです」。真の直球を追い求め、オフに一流投手の画像を研究し、先輩投手などから助言を受ける中、たどり着いたフォームだった。花巻東時代、野球ファンを魅了した最速155キロの直球。「剛速球=菊池雄星」を復活させる。

 進化を感じさせたのは、投球フォームだけではなかった。渡辺監督は「何が変わったって、ケツと太ももにかけての部分。今日見て、びっくりしたよ、馬のケツみたいで」と肉体改造中のボディーを馬のヒップに表現。オフに1日6食、ウエートトレーニングで3キロ増の89キロに増えた成果を示した。「厳しい争いですが、開幕1軍、先発ローテに入れるように頑張りたい」。投球フォーム同様に、ダイナミックな飛躍を目指す。【久保賢吾】