ダルビッシュが後継指名した日本ハムの「マー君」が、猛烈アピールをぶちかました。43歳のベテラン木田優夫(まさお)投手が2日、今キャンプ初のブルペン入り。気迫十分に77球の熱投を披露した。移籍したエースが退団会見で今季の期待選手として名指しされた発奮材料を得て、日米通算21年目を本格スタート。ダルビッシュ・イズムを注入された同じ愛称の楽天田中に負けじと、いぶし銀の働きを誓った。

 43歳の「マー君」こと木田が、若手を圧倒するオーラでマウンドに仁王立ちした。吉井投手コーチに「オッサンは初日はやめておけ」と制されて、エネルギー充電の2日目に満を持してブルペン入り。50球程度で投げ込みを終える若手を尻目に、全球種をテストしての圧巻の77球。「親戚とかには『マー君』って呼ばれていたと思う」という元祖は、遠く久米島にいる楽天の本家を意識したのか。超奮闘で栗山監督ら首脳陣へ強烈デモを敢行した。

 奮起する思いが沸騰した。1月24日。レンジャーズ入りするダルビッシュが札幌ドームで開いた退団会見。去るチームの今季に期待する選手として、ジョーク交じりに「木田さんです」と名指しして会場の爆笑を誘った。もちろん本気では受け止めず「いつか理由を聞いてみたいんだよ。笑いを取るには、オレと(同学年の)中嶋(兼任)コーチしかいなかったからでしょ」と一蹴したが、心はときめいた。

 ダルビッシュが去る日本球界の次代のNO・1候補筆頭の楽天田中と、数奇な縁もあり燃える。名前の「まさお」は、ダルビッシュらがよく使うマー君の、もう1つのニックネーム。木田は「ダルビッシュがいなくなって、岩隈もアメリカへ行って、日本を背負っていくのは田中君」と位置付け、少なからず意識。「若い投手に負けたくない」という今季のモチベーションを上げる材料に転化した。

 元メジャーリーガーながら「比較したら田中君に怒られるでしょ」と恐縮しきりだが、自主トレをともにしたマー君と同じくダルビッシュ・イズムを注入された1人だ。18歳も年下のエースと2年間を過ごして「球史にNO・1として残るかもしれない」という才能と取り組みを見て、触発されたという。楽天田中だけではなく、後継に指名されたベテランにも球春到来。重ねた年輪を武器に勝負するもう1人のマー君も、また魅力十分だ。【高山通史】