ソフトバンク川原弘之投手(20)が10日、シート打撃に初登板し、最速149キロの剛球で猛アピールした。新外国人ウィリー・モー・ペーニャ外野手(30=マリナーズ)、松田、細川から空振り三振を奪い、そのうちペーニャ、細川はストレートで仕留めた。打者9人に対し、三振3、内野ゴロ1、内直1、四球4の内容。剛球を武器に、先発ローテーション入りを勝ち取る。

 気温9度。肌寒い宮崎で剛球がうなりをあげる。3年目の川原が、シート打撃でスケールの大きさを見せつけた。福田を外角高めの149キロ直球で遊ゴロに仕留める。ペーニャへの初球も含めスピードガンは2度、149キロを表示した。細川、ペーニャ、松田から空振りの三振を奪い、安打は許さなかった。

 「ブルペン通りの投球ができた。正直、もっとスピードが出てると思いました。自分は球速はあるけど、空振りがなかなか取れないという課題があった。もっと威力のある球を投げていきたい」

 4四球を与えたのは課題と言える。だが、首脳陣は制球力には目をつぶり、球威のある直球で打者を圧倒していく投球スタイルを意識させている。川原は「自分はストライクゾーンを9分割ではなく2分割と考えている。高め低めも意識しない。外角と内角だけを意識しています」と言う。高山投手コーチは「彼にはまだ細かいことは言わない。この時期にあれだけの速球を投げられたら、打者も困るだろう」とニンマリだ。

 昨年11月から約1カ月、プエルトリコのウインターリーグでプレーした。99年ア・リーグMVPのイバン・ロドリゲス(ナショナルズからFA)とバッテリーを組んだこともあった。周囲にはメジャーリーガーがゴロゴロ。日本で1軍経験がない左腕が、格上の打者相手に内角を直球で攻める投球スタイルを磨いた。

 「変化球はカーブとスライダーしか投げなかった。ツーシームやカットボールは、もう少したってから投げたい。細かいコントロールよりも、まずは力で勝負できる投手になりたい」

 昨季までの両左腕エース和田、杉内が退団。今季は未来のエースの台頭が望まれている。期待の20歳が、目標の先発ローテ入りへ、初の実戦登板で実力の片りんは見せた。ポスト和田、杉内となるためにもアピールを続ける。

 「先発の座を絶対に勝ち取るという気持ちでやりたい。チャンスだと思っている」

 最速155キロを誇る大型左腕。今季ブレークする可能性は十分ある。【奈島宏樹】

 ◆川原弘之(かわはら・ひろゆき)1991年(平3)8月23日、福岡市生まれ。南片江小1年で野球を始め、同3年時に左投げへ転向。「福岡ウイングス」に所属した片江中3年時に、福岡ヤフードームで行われたホークスカップに優勝。福岡大大濠から09年ドラフト2位でソフトバンク入団。1軍出場はなく、昨季は2軍で8試合に登板し1勝1敗、2・42。186センチ、95キロ。左投げ左打ち。