開幕投手の有力候補、日本ハム斎藤佑樹投手(23)が23日、沖縄・名護で行われたヤクルトとの練習試合で、4回3安打1失点だった。3度目の実戦で初めて被本塁打0に抑え、直球も今年最速の142キロを計測したが“大役”を確定させるほどの快投とはならなかった。開幕投手を早めに決めたいとしている栗山英樹監督(50)も、評価は「ものすごくグレーな感じ」と表情は渋く、開幕争いは結論が出ないままオープン戦に突入する。

 ダルビッシュから受ける開幕投手というバトンを、またしても斎藤は手繰り寄せることができなかった。「ずっと点を取られていたので、結果を目指して投げた」。3度目の登板で無失点を目標に掲げたが、4回を3安打1失点。開幕投手の有力候補としては、物足りなさが残った。

 ボール球が先行し4四球を与えたが、そこはコーナーを狙う意図があったため。角度のある直球は今年最速の142キロを計測し、内容は前回、前々回を上回った。だが3回、「不用意に投げてしまった」という高めの真っすぐを、9番山田に左中間へ二塁打されると、四球も絡んで2死一、三塁。中軸のミレッジにはカウント2ボール2ストライクから、外のスライダーを左前へ運ばれて失点した。「ボール2個分くらい下を狙っていたんですけど…。続けて四球を出すのは嫌だという気持ちでいたので、スライダーが少し浮いてしまった。あそこは、抑えたかったですね」。結果的には、この1球が、首脳陣を不安にさせた。

 武田勝、ケッペルと争わせる形で開幕投手候補に推している栗山監督は、「ものすごくグレーな感じ」と、この日の投球を評した。2戦目のDeNA戦でも、走者をためて長打を浴び3回4失点。ピンチでこそミスをしないというイメージが、ぐらつき始めた。「前には進んでいるけれど、ユウキの立場なら、点を取られたらダメでしょ」。内容も、結果も求められる立場だからこそ、指揮官の言葉は厳しかった。

 ここまで3試合9イニングを投げて6失点。「(開幕投手について)頭の中で固まりつつある」、「本当は早めに伝えたほうがいい」と話してきた栗山監督も、結局は「白紙」のまま、オープン戦に突入することになる。総合的に見て、首脳陣は、この日の時点では斎藤に太鼓判を押すことができなかったようだ。

 次回はオープン戦での登板が予想されるが、登板日は未定。吉井投手コーチは「これじゃあ、オープン戦の順番も決められないよね。これまで3回決めたけど、3回白紙になったから」と、苦悩の色を隠せなかった。首脳陣の不安を拭い去るには-。背番号18が求められているものは、文句なしの快投を演じることだ。【中島宙恵】