右肩痛からの復活を目指すヤクルト由規投手(22)が、東日本大震災から1年となる3月11日の広島戦(福山)に先発する見通しになった。27日、沖縄・浦添市民球場で行われた韓国KIA戦の3回から今季初の実戦マウンドに上がった。最速151キロをマークし、2回1安打3三振に抑えた。

 試合に登板するのは、昨年9月3日以来177日ぶり。「緊張しました。バッターに向かって投げられたのが一番の収穫」と言う。今キャンプは左足小指に雑菌が入った影響で第1クールは別メニュー調整だった。キャンプ中の実戦登板が微妙な状況の中で、最終戦に間に合った。「少し気持ちが楽になった」と充実した表情を浮かべた。

 そんな由規に、これ以上ない復活ロードが用意されている。第1段階をクリアしたことで、今後は4日の日本ハム戦から11日広島戦に向かう見込み。仙台市出身の由規にとって「3・11」の先発は、大きなモチベーションになる。小川監督は「これからイニング、球数を増やしていってどうなるか」と、右肩の状態を慎重に見極めていく方針だ。

 この日は3回2死一、二塁から、2番への4球目に151キロを出した。ファウルされたが、続く148キロで見逃し三振。4回はスライダーで2三振。「回転がぐちゃぐちゃのボールがたくさんあった」と自己採点は厳しいが、ブルペンより腕が振れて、球威があった。

 昨年9月9日に登録抹消になった当初、10日間で戻ると繰り返した。だが右肩の状態は悪化し、優勝争いするチームの力になれなかった。無念さは今も忘れない。「一番は焦らないこと。ただひたすら、開幕に向かってやるだけです」。由規がマウンドに帰ってきた。それが何より大きかった。【前田祐輔】