西武が4月3日のロッテとの本拠地開幕戦の始球式に、プロボクシングのWBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志(32=ワタナベボクシングジム)を起用することが12日、分かった。内山は10年にTKO勝ちで、世界王者のタイトルを獲得。昨年12月31日の防衛戦を含め、日本人初の世界戦5連続KO勝ちの偉業を達成した。埼玉県春日部市で育ち、世界王者に上りつめたボクサーの第1球から、西武ドームでの一戦が幕を開ける。

 「出しきれ!ライオンズ」のスローガンにふさわしい人選だ。内山は05年のプロデビュー戦後、18戦全勝の無敵ボクサー。「KOダイナマイト」の異名を持つように、その拳で世界の強敵をなぎ倒してきた。4年ぶりのV奪回を目指す今季、チームが求めるのは内山のような“強さ”。最強男の雄姿を目に焼き付け、チーム全体で“出しきる”態勢を整える。

 過去にも、“王者”が始球式を行ってきた歴史がある。98年には長野五輪ラージヒルジャンプ金メダルの船木和喜、03年には大相撲の横綱朝青龍、06年にはトリノ五輪フィギュアスケート金メダルの荒川静香が務めた。昨年はシーズン後半に猛追を見せ、滑り込みでクライマックスシリーズへ進出したが、渡辺監督は「今年勝たなきゃ、男じゃない。出し惜しみせず、開幕から一気にいく」とロケットスタート号令をかける。4月3日、世界王者のごとく、力強い1歩を踏み出す。

 ◆内山高志(うちやま・たかし)1979年(昭54)11月10日、埼玉・春日部市出身。花咲徳栄高でボクシングを始め、アマ時代は4冠。07年9月に東洋太平洋スーパーフェザー級王座を獲得し、5度防衛。10年1月に第39代WBA世界スーパーフェザー級王者となり、4度防衛中。05年のプロデビュー以降、18戦全勝を誇る。

 ◆最近の西武始球式

 アスリートでは、98年の船木和喜、00年のテニスプレーヤーの伊達公子、03年の朝青龍、06年の荒川静香らが務めた。芸能界からは94年女優の吉永小百合、96、97年の歌手渡辺美里、05年のお笑いグループ「ネプチューン」、07年タレントのウエンツ瑛士ら。