<日本ハム2-1ロッテ>◇26日◇東京ドーム

 日本ハムナインが一丸となって、51歳の誕生日を迎えた栗山英樹監督に勝利のプレゼントを贈った。ロッテ戦(東京ドーム)の1点を追う4回に、今季初先発のホフパワーが右翼へ1号同点ソロ。6回には通算2000安打がかかる稲葉が勝ち越しの4号ソロを右中間へ運んだ。首位攻防戦を制して4カード連続の勝ち越しを決め、首位をがっちり守った。

 2000本安打へリーチをかけた稲葉の陰で、もう1人の主役も勝利の喜びに浸っていた。「一生忘れない、これ以上ないものになりました」。栗山監督51度目のバースデーは、自身の記憶に深く刻まれる1日となった。

 思い切った選手起用が、劇的な勝利を演出した。4回に同点のソロを放ったホフパワーは、今季初スタメン。不振に陥っていたスレッジに代わって、ロッテ渡辺俊との相性が良かったホフパワーに「7番・指名打者」を任せた。左膝の手術で出遅れ、今月16日に出場選手登録したばかりの助っ人に与えたチャンス。「チームの勝利に貢献したかった」というホフパワーの1発が、稲葉の勝ち越し本塁打、そして4カード連続の勝ち越しへとつながった。レギュラーに固執せず、冷静に選手の状態を見極めた采配は、大事な首位攻防戦でもピタリとはまった。

 栗山監督の誕生日とあって、試合中もベンチは祝祭ムードが漂っていたという。「こんなに気を使ってもらって悪いぐらい。ツル(鶴岡)なんて『監督の誕生日なんだから打てよ』って選手に言ってくれたり。リラックスのネタになれば、有り難い」。組織のトップとしての威厳より、周囲との輪を大切にする栗山監督らしい一幕。「今は雰囲気がいい。絶対に苦しい時が来るのだから、今のうちに白星を取っておかないと」と、危機管理もバッチリだ。先に備えて蓄えた貯金は、今季最多の8となった。【中島宙恵】