<広島1-7ヤクルト>◇4月30日◇マツダスタジアム

 広島栗原健太内野手(30)が9日に群馬県館林市内の病院で右肘の手術を受けることが球団から発表され、今季中の復帰は絶望となった。野村謙二郎監督(45)は4番の代役にニック・スタビノア外野手(29)を送り出しているが、さらに一塁の代役として松山竜平外野手(26)と岩本貴裕外野手(26)を指名。ヤクルト戦は敗れたが、総力戦で戦い抜く。

 栗原は「変形性肘関節症」と診断され、9日に群馬県館林市内で手術を受けることが決まった。石井チーフトレーナーは「長引くことになると思う。野球に影響がある。こういう選択をせざるをえない」と話した。2008年に受けた遊離軟骨除去手術と異なり、骨棘(こっきょく)を削り取る手術。松田オーナーは「今季中の復帰は考えていない」と、今季絶望の見通しを語った。

 4番の代役を務めるのが、この日も4番に入ったニックだ。野村監督はさらに、空いた一塁の代役に松山と岩本を指名した。この日のヤクルト戦で岩本を「6番一塁」で先発させ、松山を途中出場させた。「松山は代打などで入り込めるタイプ。岩本は入り込めないタイプ。松山がタイムリーを打ったし、いろいろ考えていかないと」と説明。適性と勝負強さを見極めながら、穴を埋める考えだ。

 途中出場した松山は7回1死二塁から中前適時打を放った。「栗原さんからは、頑張れよ、と声をかけてもらった。少しでも穴を埋められるようにしたい。状態は上がってきています」と話した。オープン戦は打率4割3厘で首位打者。現在打率2割ながら、手応えをつかみ始めている。

 岩本は2回1死一塁から右翼への二塁打で今季初安打だ。「1本出てよかった。いいところで打てるように頑張っていきたい」。4月26日に栗原と入れ替わりで1軍に戻ってきた男は表情を引き締めた。

 栗原の抜けた穴を埋めるのは簡単ではない。この日もヤクルト投手陣に6安打1点に抑えられ、エース前田健を援護しきれずに敗れた。4月を終え、首位と4・5ゲーム差の4位。3位阪神には2ゲーム差をつけられている。Aクラス入りに向け、これ以上離されるわけにはいかない。野村監督は松山と岩本の成長に期待しながら、総力戦で戦い抜く。【中牟田康】