<阪神1-2巨人>◇6日◇甲子園

 虎の主砲がGのワナにはまった。阪神金本知憲外野手(44)は初回の好機に勝負を避けられた四球など2打数無安打、2四球。打球方向のデータに基づき、右寄りに守備位置を変えるシフトも敷かれ、重圧をかけられた。1回から5回までいずれも先頭打者が出塁しながら、つながりを欠いた打線は、9回に1点を返すのがやっと。苦境も包囲網も打ち破ってくれ-。

 今、最も頼れる男を封じられた。合計9安打を放ち、5つの四死球をもらいながらも1点が遠かった。原巨人が敷いてきた“金本包囲網”に猛虎打線が決定力を奪われた。ゴールデンウイーク9連戦の最後が1点差負けとなり、和田監督も悔しさをにじませた。

 「初回やね。流れを持っていかないといけないところで主導権を握れなかった。5回までチャンスはあったが…。あまりにもランナーを置いた時と置かない時のバッティングが違い過ぎる。点を取れない焦りはあるが、力が入りすぎている」

 初回1死二、三塁。4日から4番に座った金本に絶好機がめぐってきた。だが、巨人バッテリーは勝負せず。結局、ストレートの四球で歩かされた。5番新井は初球を打ち上げて右飛、6番ブラゼルも沢村の速球の前に3球三振と料理された。

 “包囲網”はその後も続いた。2点を追う5回2死一塁、金本に対し巨人ベンチは極端に右方向へ寄るシフトを敷いた。4球目、捕逸で一塁走者マートンが二進すると、さらに右へ寄った。向かって右側の守備陣形が深く、左側が浅い状態。三塁、左翼線はがら空き。沢村-実松のバッテリーはしつように内角低めへ変化球を集中させ、張った網で仕留めようとした。結局、金本はここも四球で出塁したが、最後は新井が中飛に倒れた。

 今季23安打中、左翼への安打は2本のみ。巨人は、もともと引っ張り傾向にあるデータに加え、試合前の打撃練習の打球方向もチェックし、シフトを形成していた。橋上戦略コーチは「制約の配分を決めてあげるのがベンチの仕事。制約を設けて結果が出なかった場合、責任はベンチが取ればいい」と説明した。

 阪神は打撃好調の金本を貧打解消の切り札として4番に置いた。だが、そのポイントゲッターが徹底的にマークされ、後ろの打者に重圧がかかるという悪循環。決定力不足から抜け出す術はあるのか。和田監督はこう言って、前を向いた。

 「打線に関しては、そこに立つ打者が整理して入らないと。得点圏の打者がしっかりとやらないといけない。ただ打線に活気は出てきている」

 包囲網も、悪循環も、打破していくしかない。