<日本ハム6-2DeNA>◇22日◇札幌ドーム

 やっぱり、満塁男!

 日本ハム・ターメル・スレッジ外野手(35)が、DeNA戦で、3回に逆転満塁本塁打を放った。この日は7番DHとして5試合ぶり、交流戦に入って初のスタメン出場。3回1点ビハインドの場面で、試合をひっくり返すグランドスラムを決めた。日本ハム、横浜を通じて通算6本目の満塁弾で、勝負強さ健在をアピールした。

 来日5年目で、早くも日本を“制覇”した。序盤の劣勢を吹っ飛ばしたスレッジの1発は、12球団すべての球団から放った記録的なアーチになった。「難しい記録だと思う。そういうことをできたのはうれしく思う」。両リーグを渡り歩いた選手でなければなし得ない勲章。苦労の末に、たどりついた証しだ。

 本拠地に戻ってDHが復活すれば、12球団トップのチーム打率(2割6分4厘)を誇る攻撃力が、最大限に発揮される。そのキーマンが交流戦初スタメンのスレッジだった。2点を追う3回、陽の左前適時打で1点を返し、さらに2死満塁の好機。昨季までの同僚DeNA小林太の初球をとらえた。打球はライナーで一直線に右翼スタンドへ。「満塁だったので、ミスした方が負ける。投手は守りに入るので、アグレッシブにいこうと思った」。会心の一発だった。

 脳裏をよぎったのは、3年前の記憶。CS第2ステージの楽天戦で放った逆転サヨナラ満塁本塁打だ。「満塁の場面は好き」。来日5年目でグランドスラムは6本目。栗山監督も「スレッジらしい。集中力が高まっていた」と目を細めた。

 ここまでチームトップタイの5本塁打を放ち、23打点を挙げているが、DH制のないセの本拠地球場では、スタメンでの出番は回ってこない。指揮官は「状態がいいのに使ってあげられない」と苦しい胸の内を吐露。実はコーチ陣には「スレッジって遊撃手できないよね?」と冗談を飛ばしているほどだ。

 だが出番がもらえずとも“腐る”ことはない。スレッジは「代打で出ることは難しいけど、そのために準備をするしかない」。手を抜くことなく、チームのために陰の努力を続けてきた。今月11日に選手が集まって行われた、稲葉の2000安打祝賀会。函館の老舗料亭を会場にした「和風」な食事会だったが、スレッジも喜んで参加した。グラウンド内外で、何よりもチームの「和」を重んじている。

 今日23日のDeNA戦(札幌ドーム)を含め、DH制のある主催試合が3試合続く。「毎日一生懸命やるだけ」。頼れる助っ人が活躍すれば、そこに勝利の「輪」ができる。【本間翼】

 ◆スレッジが全球団から本塁打

 日本ハム・ターメル・スレッジ外野手(35)が22日のDeNA戦(札幌ドーム)で本塁打を放ち、全12球団から本塁打を記録した。11年6月19日のソフトバンク内川聖一以来、プロ野球22人目。

 ▼スレッジの満塁本塁打は横浜時代の11年7月30日の阪神戦以来で日本では通算6本目。日本ハムでは08年に1本、09年に2本マークしており4本目となる。日本ハム在籍時に限ると張本勲が通算7本で最高。次いで田中幸雄(現1軍打撃コーチ)の6本。今季日本ハムでは稲葉が4月11日のソフトバンク戦で記録しており2人目。