<楽天1-3ヤクルト>◇14日◇Kスタ宮城

 楽天にキャプテンが帰ってきた。右手首捻挫で戦列を離れていた松井稼頭央内野手(36)がヤクルト戦に出場。同じ遊撃の枡田慎太郎内野手(24)が、死球による負傷で出場選手登録を抹消されたため、予定より早い1軍復帰となった。早速、三塁打に好守と存在感は健在。チームは2連敗で借金2となったが、再浮上に欠かせない主将が戻ってきた。

 カズオが駆けた。3点を追う8回先頭、松井はヤクルト赤川の甘い変化球を引っ張った。痛めていた右手首も「大丈夫」と、インパクト時の“返し”は十分。力強く左中間をぶち破った。先月13日以来の安打となる三塁打で出塁し、小山桂の犠飛で生還。唯一の得点を奪った。4回の守りでは、2点先制され、なお2死二、三塁で福地の三遊間への深いゴロを好捕。即座に一塁送球と、流れる動きで俊足打者をアウトにした。

 右手首の捻挫で、交流戦開幕直後の先月17日に登録抹消された。原因は「分からない」。気が付いたら痛みが出ていた。数日前まで、問題なく振っていたバットが振れなくなった。「前腕が張ってはいたけどね。張ったまま遠投して、手首に負担がかかっていたのかも知れない」と述懐した。日米通算19年目。「蓄積(疲労)もあるのかな」とも言った。痛みは長年、戦ってきた代償でもあった。

 「フラストレーション、たまるよね」と我慢のリハビリが始まった。仙台・泉の2軍練習場で、電気治療とマッサージの日々。ある程度、回復してからは、若手と一緒にノックを受けた。PL学園の17年後輩にもあたる2年目勧野に「打球は両膝から捕りに行け」とアドバイスを送ることも。周りへの気遣いを忘れない。この日、安打を打たれ、イライラし始めたマウンドのヒメネスに「和ませたんよ」と、声を掛けた姿と重なる。

 2点を追う9回2死二塁、バーネットに空振り三振に倒れ、最後の打者になった。1カ月ぶりの実戦復帰は「大勢のファンの前でやれた」と、うれしかったはず。だが敗戦に「悔しい」と2度、繰り返した。次は明日16日の巨人戦。7連敗中の相手から「なんとか初戦を取りたい」と、帰ってきたキャプテンは固く決意した。【古川真弥】