本物の「金の卵」を探してこい!

 阪神は19日に西宮市の球団事務所でスカウト会議を開き、阪神南信男球団社長(57)が異例のゲキを飛ばした。「株主総会の話を出した。無理難題をふっかけておいた」。14日の株主総会で若手が育っていないという不満の声が上がった。昨年のドラフトを見ても、1位の伊藤隼をはじめ、誰も1軍昇格を果たしていない。他球団を見れば、中日高橋周がプロ1号を放ち、楽天釜田も3勝を挙げた。今秋の新人補強で失敗は許されない。スカウト陣の気を引き締め直した。

 株主の話題がスカウト会議で出るのは珍しい。南球団社長は猛烈なトーンでハッパをかけたようだ。「確認するまでもないが、ドラフトで新人を見つけ、その選手を育ててチームを作る。いい素材を探してくれ。身体能力が高く、エースになって、クリーンアップを打てる選手。精神力もいるし、頭が良くないと…」。スカウトから「そんな選手はいませんよ」と悲鳴が上がったというが、「冗談ではない」と同球団社長は本気だった。

 この日はリストアップした選手を約100人に絞った。花巻東・大谷翔平投手(3年)や亜大・東浜巨投手(4年=沖縄尚学)らが1位候補に挙がる。育成の成功なくしてチーム再建はない。社長のゲキに効果はあるか。ドラフト会議まで議論を深めていく。【田口真一郎】