<阪神5-2DeNA>◇24日◇甲子園

 アニキが乗ってきた。阪神の5番金本知憲外野手(44)が、驚異的な粘りで2点目をもぎとった。初回、ファウルで粘った末の11球目を右前へ運んだ。守っては、2回の左翼守備で鶴岡のファウル際の飛球に体を投げ出し、泥臭くスライディングキャッチ。新井もブラゼルも打点をマークし「AKB」の打点そろい踏みは負け知らずだ。

 ヒーローは多ければ、多いほどいい。甲子園のどよめきは、先頭打者アーチだけで終わらなかった。また金本だ。1死一、二塁で、三浦との対決は粘りに粘った。追い込まれてから、5球をファウル。11球目のフォークを引っ張った。前日の逆転3ランに続く、初回のタイムリー。新井、ブラゼルとの「AKBトリオ」がそれぞれ打点を挙げる序盤の痛快攻撃。その中心は鉄人だった。

 和田監督

 2番以降もつながった。あの1本で終わらなかった。ケイイチ、新井、カネ、ブラも含めて、つながったのがよかった。1点で安心できる相手ではない。先に取った方がひっくり返されて、負けている。優位に進められた。

 リーグ戦再開の今カードは、先制点を取ったチームが負ける展開だった。マートンの1点だけでは心もとない。5番金本が勝負強さを発揮すれば、簡単には負けない。

 チームの意思統一を感じさせる攻撃だった。平野の本塁打もそうだが、スライダーやフォークを次々と痛打した。打線復調のきっかけとなった14日の西武戦から、狙い球をきっちりと攻略している。指揮官も納得の表情を見せる。

 和田監督

 各打者とも狙い球が絞れていた。バッティングコーチの指示を実行できた。それがつながりになった。

 2回には金本が直球をミートし、右翼方向に二塁打を放った。新井が本塁で憤死し、2打席連続適時打は逃したが、プロ通算安打を2497本とした。節目まであと3本だ。2回には左翼前への飛球をダイビングキャッチ。華麗な守備とはいかないが、泥臭いまでのボールに対する執念だった。44歳の大ベテランが打って、守って、チームを引っ張った。

 夏場になれば、さらに調子も上がってくるはず。週に1度の休養日を取るか取らないかが話題に上がるが、この活躍を見れば、休ませたくない。復活の猛虎打線に、金本は必要不可欠だ。【田口真一郎】

 ▼新井、金本、ブラゼルがそろって打点を挙げたのは今季3度目で、チームは全勝。09年シーズン途中にブラゼルが加入後、3人の打点そろい踏みは18試合目で、16勝2敗、勝率8割8分9厘。