<ヤクルト7-6阪神>◇29日◇神宮

 虎の悪夢がさめない。中日戦3連敗のショックを振り払うどころか、ヤクルトに5点リードをひっくり返された。5点差逆転負けはセ・リーグで今季初の屈辱。筒井、福原ら今季ブルペンを支えてきた救援陣が終盤に崩壊して4連敗。借金は今季ワーストの4だ。離脱する守護神藤川の不在を嘆いても始まらないが、もうこんな負け見たくない!

 新任監督も、ついに神宮球場の洗礼を浴びた。もはや名物となったファンからの罵声。「和田、いつ勝つんや!」「やる気あんのか!」。指揮官は厳しい表情でフェンス際を歩く。前回の4・4敵地戦では5点を追いつき、執念のドローだった。この日は、序盤の5点リードを守れなかった。セ・リーグでは今季最大となる逆転負け。借金は最大「4」に膨らんだ。

 同一カード3連敗を喫したナゴヤドームでは、中日の野球巧者ぶりに屈した。悪い流れに追い打ちをかけるように、投手陣が崩壊した。能見がまさかの6回4失点で降板。楽勝ムードが消え去った。ここでマイナス材料が浮かび上がってくる。それは球児の不在だ。

 和田監督

 球児がいないだけに、できるだけ先発を引っ張ってきたけどね…。

 絶対的守護神の不在は、僅差では不安となってのしかかる。2番手筒井が宮出にソロアーチを許すと、続く久保田も勢いを止められず、同点に追いつかれた。

 さらに8回1死に悪夢が襲った。抜群の安定感を発揮してきた福原がバレンティンの3球目を投げ終えると、腰を押さえた。今春キャンプで張りを訴えていた箇所を痛めて、緊急降板のアクシデント。3ボールから登板した渡辺は制球が定まらず、平野のタイムリーエラーも重なり、決勝点を献上した。

 和田監督

 1回、(肩を)作っていたが、急だったから。

 相手の1発攻勢に、運も欠いて、連敗脱出に失敗した。

 故障離脱の藤川は1軍復帰が近づいてきたが、福原も登録抹消となれば、あまりにも痛い。藪投手コーチは「場所が場所だけに…。ギックリ腰じゃないが、トレーナーがあれ以上は無理という判断をしたから。今後は報告を聞かないと分からない」と不安の色を隠さなかった。

 流れを変えるべく、打線のテコ入れで打線は浮上の兆しを見せた。不振のブラゼルに関本、休養日の金本に新井良。それだけに、痛恨の逆転負けだ。

 和田監督

 元気なヤツがね。5点とったが、かみ合わない。ここ何試合か…。

 まだシーズンは半分も終わっていない。しかしこれ以上、上位に引き離されるわけにはいかない。和田阪神が厳しい状況に追い込まれた。【田口真一郎】

 ▼阪神の5点差逆転負けは、セ・リーグの今季最大得点差の逆転試合。6月23日に日本ハムがソフトバンク戦で5点差を逆転され敗れたのに並び、今季12球団ワースト。阪神の5点差以上の逆転負けは、10年4月2日中日戦(ナゴヤドーム)で5-0をひっくり返され5-6で敗れて以来、2年ぶり。