<オールスターゲーム:全パ6-2全セ>◇第3戦◇23日◇盛岡

 のどから心臓が飛び出しそうだった。初めての球宴舞台。6回頭から登板したヤクルト赤川克紀投手(21)は、のまれそうだった。3ボールからの4球目。日本ハム田中のバットが空を切った。「むちゃくちゃ緊張してたけど、あれで気が楽になった」。スイッチが切り替わった。

 全パの並み居る強打者に130キロ台前半の直球で勝負を挑んだ。変化球はわずか2球。本格派スタイルで3回をパーフェクトに抑えた。96年の巨人斎藤以来の快投だった。

 球宴は満喫していた。この日の試合前には、巨人杉内に話しかけた。「チェンジアップの握りを教えてもらいました。(巨人)山口さんにも聞きました。いろんな人のチェンジアップの話を聞きました」。オフにはオリオールズ和田と自主トレし、腕を磨いただけあって一流投手の技術には興味津々。その話だけでも財産だったが、思いもしなかった賞までついてきた。

 受賞したスカイアクティブ賞はマツダから車が贈られる。「まさか賞をとれるなんて。本当にうれしい。でも、免許持ってないので、どうしましょうか。今年中にも教習所に通わないと」。ヤクルトのジャイアンが、最後においしいところを持っていった。