<DeNA9-2中日>◇11日◇甲府

 気が付けば、虎のしっぽが見えてきた。DeNA中畑清監督(58)は、投打がかみ合っての快勝に満面の笑みを浮かべた。先発国吉佑樹投手(20)が7回2失点の好投を見せ、打線も中盤の集中打で12安打を放ち9得点。「非常につながりを感じる攻撃ができたし、若いバッテリーが勝ち試合を作ってくれた。単なる1勝じゃない。2勝?

 3勝にしようかな」と、久々のキヨシ節もさく裂した。

 “絶口調”も無理はない。4年連続最下位からの浮上を目指してスタートを切った新球団。しかし、開幕まもなくから6位に沈み、借金の数はリーグぶっちぎりの26。8月も3勝6敗と、決して波に乗っているわけではない。それでも5位まで3・5差。阪神の8連敗で、約1カ月前に8・5あったゲーム差を一気に短縮した。中畑監督も「うそ?」と思わず聞き返したほどだが、定位置脱出が見えてきた。

 このチャンスをつかむきっかけが見えた試合だった。打撃不振で2軍調整していた筒香が、13日ぶりの1軍復帰で4安打2打点と爆発。ここまで中村、ラミレスらベテラン移籍組頼みだった打線に、期待の若手が融合。投げても期待の国吉と、ルーキー高城のバッテリーが中日打線を2点に封じた。中畑監督も「若い選手が活躍しチームが勢いづいたね」と手応えを口にした。

 もちろん、発展途上だけに安心はできない。「うちはこれだけ負けてるんだから。とにかく戦えるチームにすること」。まだ課題は多いが、ようやく追い風が吹いてきたことは間違いない。【佐竹実】

 ▼DeNAが5位阪神に3・5差。4月26日に最下位になってから、7月15日の時点で5位阪神に最大8・5差。7月16日以降の勝敗は、阪神が3勝14敗2分けと苦戦が続く一方、DeNAは8勝9敗1分け。