<阪神1-2広島>◇11日◇京セラドーム大阪

 阪神が勝てない。広島に逆転負けして今季ワースト8連敗。自力CS進出の可能性が消滅した。試合後、自身の進退を問われた和田豊監督(49)は「責任を感じています」と発言した。3年契約だが、開幕前から1年勝負を強調していただけに、指揮官の悲壮な覚悟が言葉の裏ににじんでいた。

 わずかな希望さえも見えなくなった。逆転負け。スタンドからは黄色いメガホンが投げ入れられた。和田監督が発案したスローガン「熱くなれ」がプリントされたうちわがビリビリに破られていた。絶望感の支配する中、指揮官は自力CS進出の可能性が消えたことを、こう受け止めた。

 「責任を感じていますし、こういう状況なんで…」

 そして、自身の進退を考えるかという問いには、厳しい表情でこう言った。

 「さっきも言ったように責任を感じています。ただ、今は目先の1試合、1試合をしっかりと戦っていくだけ。今はそれだけです」

 今季から就任した和田監督の契約期間は3年間。来季も続投が既定路線だが、1年目の指揮官は責任を背負い込み、進退を考えるという可能性を否定しなかった。来季のことに言及せず「今はそれだけです」と強調した。その言葉は進退に対する覚悟すら感じさせた。それほど、責任を痛感している様子だった。

 この日も残酷なほどに決断が裏目に出た。1点リードの8回、能見を続投させた。だが、1死二塁とされると、ここで福原にスイッチ。するとエルドレッドに逆転2ランを浴びるという最悪のシナリオに。「こうなったら、こう行こうというところだったけど…」。和田監督の表情は曇った。

 それでも、南球団社長は和田監督への信任を問われると「変わりません」ときっぱり。球団側は一貫して続投の方針を強調している。ただ、気がかりなのは指揮官の胸の内だ。

 3年という任期を与えられたが、就任当初から「1年勝負」の思いは強かった。スパイスを加えれば優勝できると自負した戦力。それだけに理想と現実がかけ離れたショックは大きいのか。和田監督の言葉が重く響いた。【鈴木忠平】

 ▼阪神が07年9月以来の8連敗を喫した。5日広島戦からの6試合連続1得点以下は、過去3度(41、66、95年)あった球団ワースト記録に並んだ。7月1日のヤクルト戦(神宮)以降、甲子園球場以外の16試合(松山と京セラの各2試合はホームゲーム)は1分けを挟んで15連敗になって、98年に記録した14連敗を上回る球団ワーストとなった。