<ソフトバンク3-2ロッテ>◇16日◇福岡ヤフードーム

 まさに小久保の後継者だ。ソフトバンク柳田悠岐外野手(22)が延長10回にサヨナラ弾を放った。ロッテ薮田の143キロ高め直球を思い切りフルスイング。打った瞬間、勝利を確信する打球は、一直線で鷹党が待つ右翼席中段へ飛び込んだ。

 23年間の人生で初のサヨナラ弾。「打った瞬間来たな~っと。(手荒い祝福は)めっちゃ痛かったし、直前の自打球も痛かったんですが、痛みを感じなかった」と、初体験に酔いしれた。

 打席に入る前、小久保から「イケッ」と活を入れられた。小久保は「あいつの打席は楽しみ。凡打しても楽しい」と、ヘルメットが脱げるほど振り切る姿に、自分の若き頃を重ねる。14日試合後に引退会見。そこからの2試合で柳田が連続本塁打。チームも今季2度目のサヨナラ勝ちで連勝し、勝率5割に戻し、首位日本ハムとのゲーム差を3・5に縮めた。主将の最後の檄(げき)は、確実にチームを変化させている。

 柳田のロッカーにはOB門田博光氏、レッドソックス・オルティスの打撃フォームの連続写真が貼られている。2人のようにインパクト後、大きくフォロースルーすることで飛距離も増す。広角に本塁打が打てる打者を目指している。「(首位の)背中は見えている。まだ技術がなく、思い切りバットを振ることしかできませんが、チームに貢献したい」とお立ち台でファンに正直な気持ちを吐露した。プロ2年目の若き大砲が、小久保の檄で確かな覚醒を始めた。【石橋隆雄】

 ◆柳田悠岐(やなぎた・ゆうき)1988年(昭63)10月9日、広島市生まれ。広島商では2年秋に中国大会に出場、甲子園出場なし。広島6大学リーグの広島経大ではベストナイン6度、首位打者4度。2年時から3年連続で大学選手権出場。10年ドラフト2位指名でソフトバンク入り。昨年は13本塁打でウエスタン・リーグ本塁打王。187センチ、89キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸1200万円。