<日本ハム2-1ロッテ>◇17日◇札幌ドーム

 鉄腕サウスポーが、金字塔を打ち立てた。1点リードの7回。日本ハム宮西尚生投手(27)が、危なげなくロッテの上位打線を3者凡退に退けた。これで通算100ホールドポイント(HP)に到達。「今まで突っ走ってきて、おまけじゃないですけど、ついてきた感じ」。15日楽天戦で、新人イヤーから5年連続50試合登板を果たした男が、1つの節目にたどりついた。5年目での達成は、HPが制定された05年以降の入団選手でリーグ最速の快挙だ。

 入団当初、セットアッパーは希望ポジションでなかった。「先発でと思って、プロに入った」。そんな思いとは裏腹に、中継ぎとしてフル回転してきた。「メンタルは弱いほうだと思う」。心の支えは、ブルペンの先輩である武田久や建山(現レンジャーズ)だった。「リリーフの心得を教えてもらった。打たれても次の1試合があるんだと」。何度も厳しい場面を経験してきた。自信をつかむまで3年かかった。

 4年目は挫折を味わった。統一球に変わり、得意のスライダーが曲がりすぎた。思うように制球できず、開幕から1カ月も経たない時期に2敗を喫した。勝利の方程式からも一時は外れ、精神的にも崩れた。そんな時、梨田前監督から食事に誘われた。入団後、初めてだった。「信じているから、頑張れ」。“信じている”の5文字がズシリと胸に響いた。今のポジションを全うする覚悟を決めた。

 「リリーフはやりがいがある。今は左右も関係なく、1イニング任されている。やってやろうという気持ちで毎日います」。3年ぶりの優勝を決めるまで、強い気持ちで左腕を振り続ける。【木下大輔】