来季続投が決まったヤクルト小川淳司監督(55)が10日、今季限りで引退の可能性がある宮本慎也内野手(41)の慰留のために、直接出馬する考えを示した。この日、新潟市内の宿舎で、衣笠球団社長兼オーナー代行(63)から前日9日に来季続投の正式要請を受け、受諾することを明らかにした。契約期間は1年。CS進出争いに集中しながら、勝負の年に欠かせないキーマン説得に動く。

 小川監督の来季続投は、新潟市内の宿舎から大阪へ移動する直前、午前7時45分に正式発表になった。「すごくありがたい話。今はCSに行くことで頭がいっぱい」と神妙な面持ちで話した。3位広島に1ゲーム差に迫る中、今は目の前の戦いに集中する。それが大前提。その上で、宮本の現役続行について「そういう気持ちはあります。話はしようと思います」と、直接出馬する考えを示した。

 小川監督は、宮本が入団した際の担当スカウトで、2人は固い絆で結ばれている。11月に42歳になる宮本は、今季開幕前から引退の可能性を公言し、集大成の1年と位置づけてきた。5月4日には長く目標にしてきた2000安打を達成。節目に到達したことで、今季限りで引退する可能性があったが、直接要請があれば現役続行を決断する道は残されている。小川監督は来季もチームに欠かせない戦力として、慰留に努める考えだ。

 今季の宮本は、ここまで打率2割6分、3本塁打の成績を残す。7月後半からは右肋(ろく)軟骨骨折で約1カ月離脱し、チームもその間に4位と失速。8月28日に復帰すると、攻守両面で存在感を発揮し、CS進出争いに再浮上してきた。投手陣、野手陣を含めて若手への影響力は大きく、精神的支柱としてチームをまとめている。小川監督は「最後に決めるのは本人ですから」と、宮本の決断を尊重する考えだが、勝負の1年となる来季に向けて最善を期していく。