<阪神2-0広島>◇29日◇甲子園

 小雨の甲子園でエースが躍動した。7回は1死から3連打で満塁としてから、広瀬を内角直球で見逃し三振。安部はスライダーで空振り三振に斬る。ここぞの場面で、連続三振を奪いゼロを刻んだ。強気に攻めた阪神能見篤史投手(33)の脳裏には、2軍で引退試合を行った城島のリードが思い出されていた。

 能見

 ピンチほど真っすぐとフォークしか出ない。すごく要求が高いなと思ってたんですけど、逃げるよりは強気に攻めた方がいい結果が出る。そういうところを学ばせてもらいました。

 最大のピンチを切り抜け、8回は3者凡退。和田監督に続投を問われた9回も志願してマウンドに登った。5安打完封で10勝目。「できたらいいなあ、とは思っていました」。ようやく今季チーム初の2ケタ勝利を記録し、01年以来となる2ケタ勝利投手不在の不名誉を回避した。

 この日8個の三振を積み上げ、奪三振数は巨人杉内の172に次ぐ2位の165。差はわずか7。奪三振王タイトルが射程圏内にある。

 能見

 可能性があるなら取りたいですけどね。もう33歳なので。若かったらいいんですけど。

 初タイトルに意欲的。逆転の可能性が残れば、次回登板で決めてみせる。【山本大地】