<楽天2-0ソフトバンク>◇2日◇Kスタ宮城

 ソフトバンクのリーグ3連覇は3日前に消えていた。それでも悔しさが再びこみ上げた。日本ハムの優勝について感想を聞かれ、秋山幸二監督(50)は「ああ?」とだけ漏らした。宿舎に戻って球団広報を通じてコメントを出したが、ここ2年は忘れていた感情が腹の底でフツフツと湧いた。

 ペナント争いに大きな区切りがついた。そんな日に楽天田中に完封負けとあって、ナインを包む空気は重い。本多は「走者を背負うとスピードもキレも増すからカウントを取りにくる直球、スライダーを積極的に狙った」と2安打1盗塁でチャンスをつくった。ただ、3回から5イニング連続で得点圏に走者を進めながら1本が出ない。9月24日の対戦でKスタ宮城の田中から51イニングぶりに1点を奪ったが、再び16イニング連続無得点となった。

 昨年の日本一から先発3人に川崎も移籍し、開幕前から苦戦は想定できた。ただ、V逸の原因はその流出劇だけではない。優勝した日本ハムとの違いを、本多が言う。「守っていても思い切りの良さを感じた。現役時代、足を使う選手だった栗山監督がそのイメージを選手に託している。バント、エンドランとか。無難にやるのではなく、無難の前に仕掛ける。僕らが嫌がるのはそれが出来ていたってこと。ソフトバンクもいい時ははまるけど、上回ったのが今年のハム」。その力の差もまたソフトバンクを敗者の側に回らせた。

 4回は小久保に送りバント(記録は犠打野選)、代打松中と勝負をかけた。5回には秋山監督は高谷の打撃妨害について猛抗議と勝利への執念は見せたが、結果は楽天戦のシーズン負け越しが決定。背後2・5ゲーム差のところに迫られた。秋山ホークス初優勝が決まったのはここ仙台で、何とも苦い節目を迎えた。【押谷謙爾】