山本浩二氏(65)の監督就任が決まっているワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表が、前日本ハム監督の梨田昌孝氏(59)にヘッドコーチへの就任要請をすることが7日、明らかになった。山本氏は広島監督を退任してから7年のブランクがあり、サポート役に現場をより把握した人材を求めていた。また、09年大会でコーチを務めた与田剛氏(46=元阪神投手)、緒方耕一氏(44=元巨人コーチ)にも就任要請する方針。3氏からの受諾を得られれば、「浩二ジャパン」の全陣容が固まる。

 浩二ジャパンの参謀役に、梨田氏が就任する可能性が高まった。日本野球機構(NPB)は山本氏の監督就任が決まった直後から、同氏の意向を受けながらコーチ陣の人選を急いできた。山本氏は広島監督を退任してから7年のブランクがあるため、現場から遠ざかっておらず、ベンチワークの面でアシストできるコーチの入閣を検討してきた。その結果、梨田氏をヘッドコーチとして招聘(しょうへい)する方針を固めた。近日中に正式要請を行う。

 06年の王監督、09年の原監督ともに球団監督との兼任だった。監督への負担は大きかったが、各球団から選手が集う代表チームでも、選手状態を把握できるという大きな利点があった。今回は現場監督の拒否反応もあって山本氏が就任したものの、当初からブランクは懸念されていた。投手コーチに内定している元西武監督の東尾修氏(62)も同様で11年も現場から遠ざかっている。今季もオリックスでヘッドコーチを務めていた高代延博氏(58)は三塁コーチに立つ見込みで、ベンチ内に経験豊富なコーチが必要とされていた。

 梨田氏の強みは、昨年までユニホームを着ていたところにある。近鉄、日本ハムをリーグ優勝に導いた手腕だけにとどまらず、現在、活躍する選手の実力や特長を把握できている。代表選手の人選、起用、采配と、あらゆる面でプラス効果が期待でき、監督を務める山本氏のサポート役には適任と判断された。

 また、前回大会と同様に与田氏に投手コーチ、緒方氏に外野守備走塁コーチを要請する方針も固めた。交渉がまとまれば、高代氏と合わせて、3人のコーチが前回の世界一の経験者となる。短期決戦を戦っていく上で、大きなプラス材料となりそうだ。

 10日には山本氏の監督就任会見が開かれる。本格始動を前にして、3連覇を狙う「浩二ジャパン」の全容が見えてきた。

 ◆梨田昌孝(なしだ・まさたか)1953年(昭28)8月4日、島根県生まれ。浜田から71年ドラフト2位で近鉄入団。79年から5年連続パ・リーグ盗塁阻止率1位の強肩捕手。ベストナイン3度、ゴールデングラブ賞4度、球宴6度出場。88年引退。通算成績は1323試合、打率2割5分4厘、113本塁打、439打点。00年に近鉄監督就任。1年目は最下位も翌01年に近鉄を12年ぶりのリーグ優勝へ導く。04年まで監督を続け球団消滅とともにユニホームを脱いだ。08年から昨年まで日本ハム監督を務め09年にリーグ優勝を果たした。

 ◆緒方耕一(おがた・こういち)1968年(昭43)9月2日、熊本県生まれ。熊本工3年時に春夏甲子園出場。86年ドラフト6位指名で巨人入り。90、93年に盗塁王に輝くなど両打ちのリードオフマンとして活躍。98年に引退。1軍での通算成績は通算685試合、打率2割6分3厘、17本塁打、130打点。02、03年、06~10年に巨人コーチを務めた。

 ◆与田剛(よだ・つよし)1965年(昭40)12月4日、千葉県生まれ。木更津中央-亜大-NTT東京を経て89年ドラフト1位で中日入団。150キロの速球を武器に1年目から活躍し、90年に35セーブポイントで最優秀救援投手と新人王。その後は故障に悩み、ロッテ、日本ハム、阪神と渡り歩く。通算成績は148試合、8勝19敗59セーブ、防御率4・58。09年WBCで日本代表投手コーチとして連覇に貢献した。