「2012

 プロ野球コンベンション」が21日、都内ホテルで行われた。

 中日の守護神・岩瀬仁紀投手(38)が来季に向け、退路を断った。2年ぶり5度目となる最多セーブ投手賞の表彰を受けたコンベンションで、来季もこれまで同様に抑え1本でやり抜く覚悟とともに「このポジション(抑え)で結果を出せなかったら“そういうこと”になる」と引退覚悟の悲壮な胸の内を明かした。

 晴れの舞台に立った通算346セーブ左腕から重い言葉が出た。晴れやかな表彰の舞台で聞かれるでもなく自ら言った。「来年も頑張らないと進退がかかってますので」。苦笑まじりのあいさつだったが、実は登壇の直前に激白した胸の内はもっと深刻だった。

 今季は8年連続8度目の30セーブを達成したが夏場に不振で2軍落ちを経験。終盤は抑えの座を山井に奪われる試合もあった。高木監督は、すでに来季開幕も抑えは岩瀬と公言しているが、ダメなら2軍、復活できなければ引退と特別視はしない方針。苦境に立たされている。

 岩瀬は積み上げてきた実績がケタ違い。今季年俸も球界最高の推定4億5000万円と頂点に君臨する。どんな状況でも結果を出し続けるしかない立場にいる。「もうここまできてしまった。いまさら(中継ぎなど)他のポジションには移れない」。守護神であり続けるしか現役を続けていく道はない。そう分かっているのだ。

 今季の不振の原因が左肘の遊離軟骨にあったことも初めて自ら口にした。「シーズン中にそんな事は口に出せない。弱みにつけ込まれるのは分かっている。結果を出さなきゃいけないポジションだから」。シーズン終了後、鳥取のジム「ワールドウイング」に行き、肘の状態も良化。来季への手応えも得た。勝って当然、負ければ引退と隣り合わせの横綱の心境か-。竜の守護神にとって15年目、来季は自らの存在をかけた重い1年になる。【八反誠】