日本ハム稲葉篤紀外野手(40)が、ドラフト1位で指名した花巻東高・大谷翔平投手(18)に入団を強く勧める“熱烈コール”を送った。北海道内での選手会納会とゴルフコンペに出席後、初めて口を開いた。今日26日、栗山英樹監督(51)が交渉に初めて出馬し、岩手県奥州市内のホテルで本人と対面する。メジャー挑戦を希望している大物ルーキーの心を動かすことができるのか。チーム一丸となって指揮官の直接出馬を後押しする。

 08年北京五輪、09年第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)と日の丸を身につけて、世界を相手に戦った稲葉が、メジャー挑戦を希望する18歳へ“日本ハム”をアピールした。

 「本人の夢ですから、何とも言えませんが」と前置きした上で、「絶対にいいチーム。これからの野球人生において、プラスになると思う。日本球界でやって、WBCで日本代表を経験して、それからアメリカへ行っても遅くはないと思う」と続けた。来季プロ19年目。くしくも、大谷誕生の年のドラフト会議でプロへの扉を開いたベテランの口調は、次第に熱を帯びていった。

 テレビに映る大谷の姿に、興味をかき立てられた。「もちろん、見てみたい。後ろで守ってみたいし、成長する姿を見たい」。最速160キロの剛速球を投げ込む大谷の後ろで、一塁を守る自分自身を想像した。来季から兼任で務める打撃コーチとしては、走攻守3拍子そろった逸材の将来を思うと胸が高鳴った。「高校生離れしていると思うし、当然マー君のような存在になりうるものを持っている」。楽天田中のように、若くして日本球界を代表する選手になれる存在だと直感した。

 入団交渉は今日26日、栗山監督の直接出馬でヤマ場を迎える。大谷側とは、指名あいさつを含めて5度目の接触。両親のほか、本人も同席する予定で、ドラフト会議後、初めて栗山監督と大谷本人の顔合わせが実現することになった。球団側は“エース兼4番”の二刀流育成プランを提示するなど、必死の説得を試みている。「僕らは両手を広げて待っている。監督の熱意が伝わるといいなと思う」。チームリーダーの稲葉もまた、大物ルーキーの入団を心ひそかに願っている。【中島宙恵】<大谷と日本ハム経緯>

 ▼10月21日

 大谷が花巻東高で記者会見し、メジャー挑戦を正式表明。

 ▼25日

 日本ハムが単独1位指名。大谷は入団の可能性を「ゼロ」とし、栗山監督は直接交渉に意欲。

 ▼26日

 山田GMらが花巻東高を訪問して指名あいさつ。大谷は同席せず。

 ▼11月2日

 山田GMらが2度目の指名あいさつで自宅を訪問。初めて本人との面会に成功し、栗山監督のメッセージ入りサインボールを手渡す。

 ▼10日

 花巻市内のホテルで入団交渉。本人は同席せず、山田GMらが両親にメジャー挑戦のリスクなどを資料を基に説明。

 ▼17日

 奥州市内のホテルでの交渉に本人と両親が出席。エース兼4番の二刀流プランに大谷は「少しニコッとした」(山田GM)。