福留さんには打たさんけ~!

 今オフ中日から広島に移籍した久本祐一投手(33)が26日、元同僚で阪神入りが決まった福留孝介外野手(35)を封じることを誓った。マツダスタジアムで初練習。チームからは左の強打者封じを期待されており、早くも対戦イメージを膨らませていた。

 新天地での初練習に目を輝かせた。マツダスタジアム内で体を動かした後、久本は1つの仕事を全うする覚悟を決めていた。阪神移籍が決まった福留を封じることだった。

 「左打者なので対戦することも多いでしょう。怖がっていても仕方がない。やるしかないです」

 広島が今季、左投手不足で苦しんだことは分かっている。左対左で結果を残すことが生きる道だ。かつて助けてもらったチームメートを敵に回して抑えることで存在をアピールする。

 福留とは02年から07年までの6年間、中日で一緒だった。「いいところばかりしか見ていない。長打もあれば、セーフティーバントもある。走ることもできる。しかもチャンスに強いイメージしかない」とほめる言葉しか見つからない。競った場面で登板したときに、決勝打を放った姿が忘れられないという。

 左のリリーフとして球団から求められているのは、左の強打者を抑えることだ。その代表格が巨人阿部。今季は打率4割1分4厘、5本塁打、15打点と打ち込まれ、8勝15敗1分けと負け越す大きな要因となった。6年ぶりに日本に復帰する福留も、警戒すべきリストに加えられるのは間違いない。新たな苦手打者をつくらないためにも、新戦力の久本にかかる期待は大きくなる。

 11月12日の入団発表後はナゴヤ球場で練習してきた。25日に広島市内への引っ越しを完了。この日はマツダスタジアム内で練習する一方、亜大時代の2学年後輩の永川勝を質問攻めにした。「キャンプの流れなどいろいろ聞きました」という。年明けには静岡県沼津市内で自主トレを行う。

 妻ゆかさんが過去、広島のホームランガールだった。亜大時代の恩師、内田監督(現拓大監督)が広島出身ということもあり、広島には愛着がある。第2の故郷とするために、期待の左腕はマツダスタジアムで福留斬りをするイメージを描いている。【中牟田康】

 ◆久本祐一(ひさもと・ゆういち)1979年(昭54)3月14日、大阪府生まれ。柏原(現東大阪大柏原)、亜大、河合楽器を経て01年ドラフト4巡目で中日に入団。03年に51試合を投げるなど主に中継ぎとして活躍。通算成績は196試合、9勝4敗2セーブ、防御率3・45。今オフに中日から戦力外通告を受けた。177センチ、77キロ。左投げ左打ち。