WBC侍ジャパン候補の中日吉見一起投手(28)が2日、大阪・吹田市内にある実家近くの公園で始動した。竜のエースは球数制限があるWBCに向けて「ストライクゾーンぎりぎりを狙う」と宣言。打ち気を誘うセクシーゾーン投球で球数を減少させるプランを明かした。球界NO・1のコントロールで世界の強打者をメロメロにする。

 アイドルばりに色気を出しまくる?

 今年初めてWBC公式球を握り始動した吉見が、世界舞台の秘策を口にした。それは打てそうで打てない、打ちたくても打てないセクシーゾーンを攻めまくる作戦。「セクシーゾーン」と言えば、ジャニーズの人気グループだが、吉見が誘惑するのは女性ファンではない。国を代表するムキムキ男たちだ。

 吉見

 球数制限があるので、1球で打ち取りたい。何度も対戦するわけじゃないので、落として曲げてのボールはいらない。(ストライクゾーン)ぎりぎりを狙っていく。

 問題はボールの違いでも開催時期でもない。WBCのマウンドを意識したときに一番ネックになったのが球数の制限だった。投手の故障や疲労を懸念する大リーグ各球団に配慮したルールとも言えるが、慣れない日本人投手にとっては本来の投球スタイルを崩しかねない。

 球界一の制球力を誇る右腕はコントロールで慣れないルールをカバーする。

 吉見

 打ってくるだろうなという打者は、ストライクゾーンの際どいところに投げておけば、なかなかヒットにならない。そういう打者はイノシシみたいに周りが見えていない。

 腕っぷしが太い猪突(ちょとつ)猛進の打者はハンター吉見の獲物、というわけだ。

 すでに80メートルの遠投を始めている。今月中旬にはブルペンに入るつもりだ。昨季のシーズン終盤に骨折した右肘も「問題ない」。この日は「野球と出会った」という原点の、自宅近くの公園でみっちり2時間半も練習した。「これからは投げるための練習を始めます」。照準はしっかりと定まっている。誘って誘って裏切って-。セクシー投球で世界の猛者を悩殺する。【桝井聡】

 ◆WBCの球数制限

 第3回大会は未定だが、前回の09年大会は第1ラウンド70球、第2ラウンド85球、準決勝と決勝は100球だった。規定数を超えても対戦打者の打席終了まで続投できる。予告先発制を採用し、30球以上を投げたら中1日、50球以上は中4日の登板間隔を設ける。また準決勝で30球以上投げた投手は決勝で登板できず、期間中の3連投も認められない。適用は投手だけで、野手の緊急登板に制限はない。