投手と野手の二刀流を目指す日本ハムのドラフト1位、花巻東の大谷翔平投手(18)に実績抜群の“先生”がコーチ役に名乗りを上げた。栗山監督の「遊撃手構想」を実現させるべく、新人王に過去3度のゴールデングラブを獲得したショートの名手、金子誠内野手(37)が8日、自主トレ先の山梨県笛吹市で「スローイングや球の投げ方は教える」とサポートを約束。今年プロ20年目を迎えるベテランが、内野守備の極意を伝授する。

 中学時代に遊撃手の経験がある大谷だが、高校時代は未経験。栗山監督の構想を伝え聞いた大谷は「どうなんでしょう…」と、当初は戸惑いを隠せなかった。そんな18歳の不安を、金子誠も重々承知している。金子誠は昨年左膝の手術を受け、現在は完全復帰に向けてリハビリ中。2月1日から始まる春季キャンプでは「メニューをこなせる手応えがまったくないんだから、下でやるのがいいと思う」と、2軍キャンプ地の沖縄・国頭スタートが濃厚だ。やはり2軍で英才教育を受ける可能性が高い大谷にとっては、寝食をともにし、内野手の心構えや技術を吸収する良い機会になる。

 大谷は11日から始まる新人合同自主トレへ向け、近日中に入寮を済ませ、プロ生活のスタートを切る。投手兼内野手について「球の質が落ちるのでは」と憂慮していた金子誠だったが「可能性はあるんだし、若いうちに、どんどんやればいい。無理と言い続けたら、一生、そういう選手は出てこない」と、栗山監督や大谷のチャレンジ精神を尊重し、温かく受け入れる構えだ。「雰囲気がある子だし、楽しみ。誰もやったことがないことを、やってしまうのが日本ハム。球団も策は練っているはず」。日本ハム一筋の名手が送った心強いエール。無限の力を秘めたスーパールーキーが“金子塾”を経て不可能を可能にしてみせる。