マー君が2013年版の新フォームを予告した。楽天田中将大投手(24)が29日、Kスタ宮城で自主トレを公開。WBC公式球で、今年初となるブルペン投球も行った。昨季は故障による離脱もあり10勝にとどまった。雪辱を期す今季は、まずは3月に侍ジャパンのエースとして期待される。世界一になるためにも、来月1日からの久米島キャンプで投球フォームを固める。

 ウオーミングアップとキャッチボールを終えると、田中はゆっくりブルペンへ向かった。「キャッチボールの延長」としたが、今年初のブルペン入り。スパイクを履き、ノーワインドアップで15球。セットポジションから7球。立ったままの長坂ブルペン捕手へ1球1球、丁寧に投げた。「まだまだ、これからです」と時折上ずる球筋にも冷静だったが、昨年の初ブルペンは2月1日。「(WBCを)頭に入れてやってます」と、約1カ月早い“開幕”へ着実に進んでいる。

 まずは世界一に挑む3月、カギは新投球フォームだ。3日後に迫ったキャンプのテーマを聞かれ「もう1回、ブルペンで自分のフォームを見直しながら、良いものを見つけていけたら」と予告した。もっとも、具体的な変更点は「感覚的な部分なので。言葉にはできない。感覚を言葉にできたら感覚じゃなくなる」。さらなる質問を封じる答えが、繊細な違いを大事にしている証しだった。

 ヒントは明かした。1月は小山伸、青山、釜田らと静岡、千葉で自主トレ。「ウエートはそんなにしていない。経験をふまえて減らした」と筋力アップより現状維持に努めた。代わりに重視したのが体幹強化とバランス。プロゴルファーやアメリカンフットボールの選手も合流した千葉で、初参加の青山が「体がパンパンになった」とうなるほど、多くの時間を費やした。

 昨春はダルビッシュの助言もあり、軸足のためを意識したフォームに着手したが、キャンプ途中で断念した。その後は「その場しのぎ」と認めるフォームで通すしかなかった。「新しくはしない」とマイナーチェンジにとどまるようだが「こうして投げたいというのはある」とも言った。常にベストを求め、13年の形を手に入れる。【古川真弥】

 ◆田中の投球フォーム

 転機は3年目の09年。バランスを重視し脱力して制球するフォームを習得し、自己最多15勝を挙げた。テレビ対談で工藤公康氏(日刊スポーツ評論家)に、19勝で沢村賞を獲得した11年のフォームは、入団当時よりリリースポイントが20~30センチ前になっていると指摘されたこともある。