自己評価は低くても、周囲の評価は高かった。巨人ドラフト1位菅野智之(23=東海大)が16日、紅白戦に先発した。プロ初実戦は2回を1安打無失点。1回は、わずか9球で3者凡退に抑えたが2回はボールが先行し31球を要した。それでも高橋由、矢野、古城らの主力級を封じるなど、潜在能力の高さを改めてアピールした。

 菅野は首をかしげ不満そうに振り返った。待ち望んでいた実戦。登板後は「もうちょっと、球数を減らしたかった。まだまだ、課題が多い」と表情はさえない。さらに「2イニングでこの球数(40)だったら9回で150球ぐらいになってしまう。少ない球数で長いイニングを投げること目標にしている」と続けた。

 プロ入り後は常に明確なテーマを設定して練習に取り組んできた。今回の実戦も同様で「球数減」を公言してマウンドに上がったが、2イニングで40球も費やした。だからこそ、1安打無失点と上々の結果にも満足感に浸ることはない。ただ、課題が出た原因を分析し、次に生かす能力にもたけている。「カットとワンシームは思ったところに投げられた。でも、真っすぐに関しては全然、良くなかった。もっと、球威を上げないといけない」と、この日は最速145キロをマークした直球の微調整から着手する。

 辛口自己採点は「50点」だったが、周囲の反応は対照的だった。川口投手総合コーチは「内角の打者の懐に向かっていく姿勢はいい。全体的に粘られたけど、縦の特殊球を持っているけど、今日は使わなかったしね」と、持ち球のフォークを封印した上での内容を高く評価する。紅白戦2試合で6打数5安打と大当たりの古城を空振り三振に仕留め「外も内も、ほとんどの球が動いていた。変化の仕方は昔の黒田さんかな。コントロールもいいし、ローテに入ってほしいよね」と、言わしめた。

 次回登板は中7日で楽天とのオープン戦(24日)の予定。「完璧を求めてもダメ。それを抜きにしてももうちょっとですね…。次は対外試合なので本当に結果が求められる」と、真っすぐ前を向いた。シーズン開幕へ-。少しずつ前進していることだけは間違いない。【為田聡史】