中日高木守道監督(71)が18日、V奪回へのマル秘布陣を披露した。右翼に森野将彦内野手(34)を入れる超攻撃型打線の形成だ。新外国人エクトル・ルナ内野手(33=フィリーズ)を三塁に固定する方針で、森野にも通達済み。一塁手のマット・クラーク内野手(26=パドレス3A)が大当たりすればの条件付きだが、毎年貧打に泣く竜のチームカラーが、今年は大変身するかも。

 高木監督がウルトラプランを披露した。キャンプ休日の宿舎でのランチタイム。沖縄の青い海をながめながら明かしたV奪回計画は「右翼森野」だ。「彼は外野の経験があるからね」。本人にも「ライトも練習しておくように」と16日に通達済みだ。森野の外野は08年が最後で5年ぶり。右翼に限ればプロ16年で20試合しかない。だが森野も「監督から話は聞いています」と覚悟を決めた。

 三塁競争のうれしい誤算が、右翼森野プランの源だ。新外国人ルナが17日のシート打撃でも2安打するなど、日本野球に適応できると判断。中軸を任せる意向で、最も得意とする三塁で打撃に専念させたい狙いがある。高橋周も16日阪神戦の5打数5安打など開眼の兆し。こちらも三塁だけでは出番がないと、すでに右翼の練習を命じている。森野もポジションがかぶるが、監督は腹を決めた。

 「すべてクラーク次第だけどね。日本野球に対応できるかどうか。2割5分で本塁打をちょこちょこ打ってくれればいいんだけど」

 右翼森野の実現には、もう1人の助っ人クラークが“大当たりすれば”の前提もつく。チーム1、2の飛距離を誇るが、メジャー実績は0で監督もまだ実力は未知数と見ている。

 だが山崎との一塁競争でクラークが打ちまくって固定となれば、森野も一塁の出番がなくなる。玉突き式で空いているのは、ライトだけだ。

 もちろん右翼にはキャンプ実戦5割の松井佑や好調の平田、さらに高橋周もいて争いは激烈。森野とて定位置が確約されたわけではない。だが監督の頭の中で、超攻撃型オーダーがふくらんでいることは間違いない。落合前監督時代から貧打&投手王国のイメージが強いが、今年はチームカラーも一変か。V奪回への秘策、守道タヌキの皮算用に注目だ。【松井清員】

 ▼森野の外野はプロ16年間で253試合あり、最後は4番中堅で先発した08年10月12日阪神戦(スカイマーク)。右翼は3番で先発した08年7月25日阪神戦(甲子園)が最後。外野出場の内訳は左翼165試合、中堅80試合、右翼20試合。