<オープン戦:日本ハム0-2巨人>◇7日◇札幌ドーム

 開幕投手に決まっている日本ハム武田勝投手(34)が、尻上がりの好投を見せた。巨人とのオープン戦で5回5安打1失点。4回まで毎回走者を背負いながらも、要所を締めた。敗れ、自身オープン戦2連敗となったが、3回6失点した前回の阪神戦から、しっかり修正してきた、初の大役となる29日の開幕西武戦(西武ドーム)に向け、順調にステップを踏んでいる。

 武田勝が不安を一掃した。5回5安打1失点の内容に「球数を投げるにつれて、マウンドで落ち着いて自分らしく投げられた」。オープン戦初登板の前回2月23日阪神戦(名護)は3回9安打6失点と打ち込まれた。中11日と十分な調整期間をもらって臨んだこの日。「徐々にコーナーに投げられるようになった」と納得の表情で振り返った。

 この日も、序盤は苦しんだ。前回の汚名返上を意識するあまり「ブルペンから力が入っていた」。先制を許した1回は捕手・大野とサイン交換でミス。1、2回とも2安打を浴びた。3回は高橋由に初球のシュートが抜けて右肩付近へ死球を与えた。力みで気合が空回りし「普段はないこと」と冷静さも失っていた。

 もがく武田勝を救ったのは黒木投手コーチだった。「もっと力まず、体全体で投げたらどうかと、言われました」。平常心も取り戻し、4回から本来の姿に戻った。「投げ急いでいたのを修正できた。バッターに対して、余裕を持って投げられた」。課題だった試合勘を取り戻せたことが、最大の収穫だった。

 沖縄・名護キャンプ中の2月24日に栗山監督から手紙で初の大役を通達された。チームメートは気を使って、その話題に触れてこなかった。「それも優しさと理解しています」と、開幕戦に万全の状態を整えることが仲間への恩返しになると分かっている。「これからは1試合ずつ自信をつけながら開幕にいければ」。左腕エースは、3週間後の本番へ向けて、青写真を描いた。【木下大輔】