侍ジャパンとしてWBCに参加していた阪神の能見篤史投手(33)が19日、開幕ローテから外れる可能性が浮上した。日の丸を背負って戦った肉体的、精神的な疲労を考慮され、場合によっては十分な調整期間を設けるため、開幕2カードまでは登板しないというプランだ。この日帰国した能見も首脳陣と話し合ったうえで「指示に従う」と話した。

 世界と戦った能見侍の“刀”はどれほど傷んでいるのか。張り詰めた中での激闘の疲労は心身とも計り知れない。阪神黒田ヘッドコーチは、29日に開幕するシーズンに向け虎の左腕エースの今後について口を開いた。

 「まず見てからやな。球数も投げてないし、精神的なショックもあるやろうから」

 日の丸を背負い、主力投手の1人として本戦で3試合に登板した。第2ラウンド初戦の台湾戦での先発や、準決勝プエルトリコ戦でリリーフ登板するなど、大事な局面を任されてきた。準決勝では7回、痛恨の2ランを被弾。「悔いがないと言えばうそになる。(被弾は)自分の力不足」と能見は明かす。3連覇を逃したことで、首脳陣がメンタル面も気遣うのは当然だった。肉体的な疲労も考慮し、万全の状態でシーズンに臨ませるため、開幕2カードまで、能見を登板させない可能性も示唆した。

 能見が開幕ローテーションを外れることになれば、2カードまでは、開幕投手を務める予定のメッセンジャーをはじめ、岩田、藤浪、榎田、スタンリッジが続く。加えて榎田と「第6の男」を争ってきた白仁田が浮上し、代役で開幕ローテに名を連ねるプランが有力だ。

 この日、サンフランシスコから代表チャーター機で成田に帰国した能見も冷静に現状を自己分析した。

 「投げ込みはキャンプからだいぶやってきているので、足りないということはない。ただ、確かに練習が減っているので、追い込めるところは追い込みたい」

 開幕2カード中の登板を外れる可能性についても「個人の思いでチームに迷惑をかけることはしたくない。言われたとおりにします」と、首脳陣の方針に同調する構えだ。エースは帰国後、26日からのウエスタン・リーグ広島3連戦(由宇)などで実戦を踏み、シーズンに向かう予定。長いシーズンを戦い抜く上で、能見の存在は不可欠。だからこそ、万全の状態で“開幕”させるためにベストの選択をする。