<オープン戦:オリックス7-3阪神>◇22日◇京セラドーム大阪

 トリあえず…じゃない。待ってましたの役者の登場だ。WBCでその名を上げた阪神鳥谷敬内野手(31)が実戦でチームに復帰した。もちろんタテジマでの定位置は「3番遊撃」。お約束の四球の後に、先制の2点適時打を放つと、二塁西岡と鮮やかすぎる併殺を決めるなど攻守に全開。最後はちょっぴり不安な逆転負けとなったけど、主将が入った開幕オーダー、これなら戦える!

 この男を待っていた。帰ってきた“虎の鳥谷”が、いきなり快打で復帰初戦を飾った。

 「3番遊撃」で、これが今季オープン戦に初出場。魅せたのは3回だ。新戦力西岡らがつないで作った1死満塁の大チャンス。オリックス西のスライダーをたたき、一、二塁間を破った。先制の2点をスコアボードに刻んだ。

 鳥谷

 先制のチャンスだったんで、いいところで打ててよかったです。

 和田監督も“世界レベル”の男を絶賛した。「向こうで修羅場をくぐっているからね。あれくらいはなんともないというか。精神的な疲れはあるだろうけど、かといって状態が悪いわけでもない」。鳥谷は「まだオープン戦だし、どうというのはない。シーズンに入ってああいうところで打てればいい」とどこまでも冷静だった。チームリーダーの元気な復帰は指揮官にとっても待ち望んでいた朗報だった。

 侍ジャパンでは遊撃ではなく、慣れない二塁、三塁を主に守った。それでも打撃では先頭打者弾を放ち、奇跡の同点劇を呼ぶ二盗を決める度胸も発揮。日本の4強進出に貢献した。休養は1日だけ。甲子園室内で野手1人だけの猛練習を積んで、オープン戦最終カードに戻ってきた。

 キャッチボールを終えるとすぐに遊撃でノックを受けた。「ショートをやっていなかったので、しっかりやりたいですね」。統一球の感触を確かめるように、ボールを捕り、丁寧に送球を繰り返した。フリー打撃は31スイング。最後のひと振りで右翼スタンドに放り込んだ。ナイターでは即、結果を出した。「3、4打席目でしっかり球をとらえられればよかった」と打撃面の反省も忘れない。久しぶり?

 の遊撃守備でも「特に変な感じもなかった」。まるで10年コンビを組んでいるようなスムーズさで、二塁西岡のグラブトスを受けた併殺を決めた。

 主将が収まり、打線の厚みは倍増した。3番鳥谷、4番新井良、5番福留のクリーンアップを軸にした開幕ベストオーダー。この日は指名打者を使わず、シーズン本番を意識した。それも鳥谷という欠かせないピースがそろったからこそ。最後の主役が戻り、13年版阪神打線が仕上がった。【高垣誠】