<中日2-4DeNA>◇30日◇ナゴヤドーム

 守道竜が11年ぶりの開幕連敗発進だ。期待の先発大野が突然崩れ、3回4失点KO。打線は2点を返すのが精いっぱいで、昨年最下位のキヨシDeNAに辛酸をナメた。高木守道監督(71)は母校の県岐阜商が大阪桐蔭の3連覇を止めた金星を引き合いに「県岐商に(試合を)代わってもらわなあかんな」と自虐ジョークを飛ばした。

 「えっ、勝ったの?」。高木監督は目を丸くした。母校の県岐阜商が大阪桐蔭から金星を挙げた瞬間は、ちょうどDeNA戦の終盤だった。そしてつぶやいた。「県岐商に(試合を)代わってもらわなあかんな。それが今日のオチや」。今の中日より県岐阜商の方が強い?

 暗い開幕連敗会見は一瞬で爆笑に変わったが、自虐ジョークはあまりにも寂しげだった。

 エース吉見を立てた開幕戦を落とし大事な2戦目。先発大野があっけなく崩れた。2回まで無安打も3回。先頭から連続四球と乱れた。荒木の本塁野選もあってあっという間に4点を失った。「3回まででいい。全力投球せい。あとはつないで勝つ。できない投手は先発の権利を剥奪する」。しりをたたいて送り出した監督は、皮肉な予告通りの降板指令。今中投手コーチも「話にならへん。しゃあないやろ」と怒り心頭だったが時すでに遅し。今の攻撃陣には4点が重過ぎた。

 監督の手には季節外れのウチワがあった。試合中は怒りで真っ赤だった熱を冷ますように言葉を絞り出した。「昨日と同じで点の取られ方が悪い。ピンチの作り方もマズいからバックも点をやりたくないと野選も出る。打線もよくないし(先発の役割を)できないから勝てないだけのこと」。

 最下位に沈んだオープン戦から、先発の崩壊と攻撃が後手に回るパターンが1カ月以上も続く。前日は元4番ブランコに打たれ、この日は8回の好機で元セットアッパーのソーサに抑えられる屈辱。本来なら「先発剥奪」の大野も駒不足で「次も使わざるを得ない」(今中コーチ)状況だ。投打がっちりの県岐阜商がうらやましく?

 思えたのも無理はない。

 だが冗談もここまでか。中日の開幕連敗は02年山田体制以来11年ぶり。この13年は練習試合とオープン戦も含め、セ・リーグ球団にいまだ勝ち星なしの10戦全敗だ。もし開幕3連敗を食らえば80年以来、同一カードに限れば75年阪神戦以来38年ぶりに負の歴史を刻んでしまう。

 「それだけは防がなあかん!

 明日は何としても勝たなあかん!」。今日31日は赤のサードユニホーム「燃竜(もえドラ)」を着用する。衣を借りてでも燃えて勝つ。赤ユニでの炎上はしゃれにならない。【松井清員】

 ▼中日の開幕2連敗は、02年3月30、31日ヤクルト戦以来、11年ぶり。今日31日も敗れ3連敗となると、80年4月5日ヤクルト戦から同15日巨人戦に6連敗して以来、33年ぶり。なお開幕同一カード3連戦全敗なら、75年4月5、6日阪神戦(6日はダブルヘッダー)以来、38年ぶりとなる。