<阪神0-0巨人>◇10日◇甲子園

 巨人打線が甲子園で湿り気を帯びた。前日完封負けを喫したが、この日は初回の先制チャンスを逃すと先発スタンリッジを中心とする阪神投手陣に沈黙。延長12回を戦い6安打無得点に終わり、前日9日の第1戦と合わせて甲子園で21イニング無得点。7日中日戦も含めれば22イニング連続無得点とゼロ行進を伸ばしてしまった。それでも先発杉内俊哉投手(32)ら投手陣が踏ん張り、「伝統の一戦」第2ラウンドを何とかドローに持ち込んだ。

 巨人にとっては、凍えるほど寒かった。気温10度と冷え込んだ甲子園。ベンチには季節外れのホッカイロが用意され、試合終盤にはいつも半袖のロペスが長袖を着込むほど。体感気温もそうだが、スコアボードにこの日も並んだゼロの現実が寒さに拍車をかけた。

 初回の絶好機を逃した。長野、坂本の安打で1死二、三塁。だが阿部が内角低めに沈むカーブに空振り三振、村田は外角の直球に押され右飛に終わった。3回も連続四球で得点機をつくったが、坂本、阿部が凡退。そこからスタンリッジが立ち直ってしまった。投手がスイッチされても突破口は開けず、22イニング連続無得点。開幕7連勝時は1試合平均5・75点と猛威を振るった打線が、昨年4月初旬の31イニング連続無得点以来となる沈黙状態に陥った。得点圏で2度凡退した阿部は「投手は頑張ったけど、野手としてはもうちょっと頑張らないと」と責任を負った。

 川相ヘッドコーチは「阪神の投手が素晴らしいし、気温が下がっているというのもある。ドームからこっちに来て、打線も一緒に冷え込んだのかな」と振り返った。王者巨人を止めようと宿敵のプレーも熱を帯びた。阿部は安打性2本を西岡の好守に阻まれ、ボウカーは福留の強肩に二塁で刺された。

 4カード連続勝ち越しはならなかったが、それでも負けなかった。原監督も悲観はしなかった。「こういう時はしっかり守るということ。先攻めで引き分けたのは良かったと思う。打線は見ての通り。いい投手が投げて、いい所に投げられたらね」。

 そして予言めいた言葉で締めくくった。「明日は爆発しますよ」。今季は「明日は慎之助が打ってくれるでしょう」と言った次の日に阿部が適時打を放ち「明日は慎之助が大きいのを打ってくれるでしょう」と発言した翌日に阿部が初本塁打を放った。3度目の予言的中へ-。伝統の一戦第3ラウンドこそは打線が点火する。【広重竜太郎】

 ▼巨人は9日阪神戦に続いて無得点。これで7日中日戦の8回から、通算22イニング連続無得点となった。チームの最多連続イニング無得点記録は、85年6月と昨年4月の31イニング。