<広島1-8巨人>◇19日◇マツダスタジアム

 巨人阿部慎之助捕手(34)が、わずか1分足らずの“一発芸”で通算300号の大台に王手をかけた。8回2死二、三塁、代打で登場。広島5番手菊地原の140キロ直球を一振りで仕留めた。自身通算299号となるダメ押しの今季4号3ラン。打った瞬間に相手野手全員がぼうぜんと立ち尽くす、完璧な一打をライトスタンドに放り込んだ。

 大台到達となれば捕手としては野村克也、田淵幸一に続き歴代3人目の快挙となる。「もう、積み重ねとしか言いようがない。300号を目標にやっているわけじゃないし、あと1本打てれば記録としては残るけど、自分の中では通過点にしかすぎないと思っている」と、地に足がついたコメントも貫禄十分だった。

 蓄積疲労を考慮されベンチスタートだったが、役者が違う。まさに一発必中の神業を見せつけた。今季2度目の代打出場に「代打は難しいね。ファーストストライクが勝負だから。そこを1球で仕留められたことが大きい」。また、今日20日からは「4番・捕手」としてチームを引っ張っていく。会心一打で疲労も吹き飛んだようで、スタメン時と比べ疲労度は?

 との問いに「0・3ぐらい」と、意気揚々とバスに乗り込んでいった。【為田聡史】