<巨人8-7DeNA>◇23日◇ほっともっと神戸

 DeNAトニ・ブランコ内野手(32)は悔しさを押し殺して一塁へ歩いた。2点差に追い上げて迎えた9回2死一塁で、一塁が埋まっているにもかかわらず敬遠された。「自分のバットでせめて同点までいきたかった。(敬遠は)ないなと思っていた。残念」と振り返った。

 歩かされるのも無理はなかった。7点差の6回に外角低めのカットボールを右翼席に運ぶ11号ソロ。球団記録の5試合連発を放つと、7回にはバックスクリーンへ2打席連続となる12号アーチ。打点の26と合わせてリーグトップに立った。

 4番としての仕事をまっとうする男には1つの夢がある。「10年間、日本でプレーしたいと思っている。その頃には子供も野球を教えられる年になるし、自分も教えたいからね」。今年で来日5年目。現在、5歳と7歳の息子は母国ドミニカ共和国で暮らす。5年後には10歳と12歳。その頃には野球を教えることが出来る。今は離ればなれだが、「自分が37歳くらいだね。(息子たちが)日本に来て、甲子園を目指すのもいいね」。うれしそうに話す目には、父親の優しさがあふれていた。

 試合は惜しくも1点差負け。それでも「このチームは最後まであきらめない。強いチームだな、とあらためて思った。前を向いてやるしかない」。頼れる4番は、勝利のため、そして夢をかなえるためにバットを振り続ける。【佐竹実】