<巨人0-5阪神>◇7日◇東京ドーム

 どや、新井が気持ちよすぎる「杉撃ち」や!

 阪神新井貴浩内野手(36)が4回に3試合連続アーチを右中間に運ぶと、7回にも左翼席へ豪快弾。巨人杉内に日本人打者では初となる2打席連弾を見舞っちゃいました!

 チームの貯金5は今季最多。東京ドームでの巨人戦同一カード勝ち越しも和田虎では初。巨人追い上げへ、いよいよ全開ですわ!

 新井は警戒感を強めながら、三塁ベンチに戻った。1点リードの4回2死一、二塁。巨人杉内の外角137キロ直球を右中間席まで届かせた。3戦連発となる4号3ランを決めた直後だ。ベンチ前に整列した仲間の雰囲気をうかがう。なかなか準備してくれない。グーッと間をためられた後、ようやく全員で小さく1発後の決めポーズを披露。満面の笑みで西岡のボディーにパンチを連発させた。

 新井

 あのヤロー…(笑い)。(事前の打ち合わせは)ないない。勝手にやられてるだけ!

 前日6日は5回に決勝弾。仲間と決めポーズを楽しもうとしたが、西岡を中心に「無視」を食らい、首謀者にヘッドロックを決めた。「剛はすごく盛り上げてくれる」。翌日、もうハメられないぞとばかりに、慎重に喜びを分かち合った。

 「逆方向にも質のいい打球が行っている。しっかり軸で振れている」。7回1死からは左翼席に2打席連発となる5号ソロ。またハメられ、決めポーズの方向は仲間と逆向きだったが…。ベンチ奥では爆笑しながら、西岡と抱き合った。

 新井

 口には出さんけど、そりゃあ家族は心配しとったよ。

 右肩の激痛に苦しんだ昨季、愛息2人と触れ合うことさえ許されなかった。「言い訳したくなくて。『肩が痛くて打てません』みたいにはしたくなかった」。公の場では痛みを悟らせまいと必死だったが、家族にウソはつけない。送球すれば激痛に吐き気を催し、深夜に寝返りを打てば目が覚め、鎮痛剤を飲んで…。そんな毎日、どれだけ家族の気遣いに支えられたか。

 「あいつらは突発的な動きが多いからね。じゃれ合うのも無理だった」。現在、長男は8歳、次男は6歳。遊びたい盛りの2人は必死で我慢してくれた。「お父さんは肩が痛いんだから、遊ぼうとしちゃダメよ」。パパを悪者にしないよう、裕美子夫人は率先して子供たちを諭してくれた。5月5日の「こどもの日」が終わり、5月12日は「母の日」。家族への感謝はグラウンドで体現している。

 難敵杉内を打ち崩し、敵地で宿敵に2連勝。貯金は今季最多の5。首位巨人に3・5ゲーム差とした。ヒーローインタビュー中、場内から4番コールも起こり「…しっかり頑張ります」と照れ笑い。「明日もタイガースらしい野球をしたい」。右肩痛を抱える前、11年4月30日から5月3日に放って以来の3戦連発。新井が虎のキーパーソンに返り咲いた。【佐井陽介】