さらに出世だ!

 ソフトバンク千賀滉大投手(20)が7日、条件付き守護神に指名された。高山投手コーチは「現時点で後ろは2人。8回が千賀、9回はファルケンボーグ」と、右肘加療中の岩崎に代わり、千賀がセットアッパーを務めると明言。ファルケンボーグが3連投できない事情から、「その場合、現状ではそうなる」と、3連戦以上なら抑えに昇格する可能性まで踏み込んだ。

 育成契約から支配下になって1年。初の開幕1軍からわずか1カ月、持ち場は敗戦処理からセットアッパーへ。「(岩崎)翔さんが戻るまで投げ続けないと」と自覚が芽生えた直後、リリーフの極地も見える位置になった。あまりの期待の大きさにこの日は「はい、頑張ります」と殊勝に話し、大阪へ向かった。

 会社ならアルバイトから部長や役員クラスへ、魚なら稚魚からいきなりブリになるような出世物語。支えるのは最速155キロのストレートと、受け手の細川が「消えたのは初めて」と仰天するフォークだ。このコンビネーションで今季パ・リーグ全投手で最高の奪三振率14・37という三振ショーを演じる。14試合連続無失点で防御率も1・31までアップした。肩肘は「どこも問題ないです」と頑丈な体もベンチには頼もしい。

 もちろん順風満帆な道程に課題も隠れる。高山コーチは「(救援)失敗して精神的にダメな時にどう乗り越えるか」と指摘。つまり伸びしろたっぷりである。今の出世男ならどんな逆境も成長エネルギーにしてしまいそうだ。【押谷謙爾】