<DeNA0-1巨人>◇12日◇ハードオフ新潟

 母の日に“孝行息子”が力投して、巨人が越後シリーズを連勝だ。内海哲也投手(31)が9回を無失点で4勝目を挙げ、自身の通算勝ち星を99勝とした。力で押すDeNA先発のルーキー三嶋とは対照的に、変化球を駆使した味わいある投球で、好調な相手打線を封じた。降板直後の延長10回、坂本が決勝の適時二塁打を放ち、エースの139球は報われた。

 おかん!

 やったでぇ~!

 内海は赤いカーネーションではなく、最高の投球で感謝の気持ちを示した。9回を5安打無失点。延長10回に坂本が決勝打を放ち、昨季から自身12連勝となる今季4勝目を挙げた。「母の日でしたね。おかん、嫁さん、義理のお母さんの3人に、いいプレゼントになりました」と正直に言葉を並べた。

 追い求めてきた投球だった。慣れない地方球場のマウンドでも制球と粘りは健在。右打者を並べた相手打線に対し、クロスファイアとスライダーで追い込み、チェンジアップで手玉に取った。「今日はチェンジアップに尽きる」と、決め球がさえ、王道の投球でイニングを進めた。DeNA先発のルーキー三嶋も力投したが、貫禄を漂わせる無失点投球で巨人のエースに軍配が上がった。

 「母の日」だから感謝を込めたわけではない。家族を大事にし、母親を大事にする気持ちをひとときも忘れたことがない。数年前のある日。京都に帰省中だった。雑談の中で母広子さんが「私もいつか自分のお店を持ってみたいなぁ。夢やわ~」と、つぶやいた。内海は「おかん、俺に任せろ」と宣言。京田辺市内の実家近くに「鉄板焼き・内海」を開店させ、広子さんの夢をかなえた。

 根が優しい。家族へ見せる配慮は、チーム内の後輩に対しても変わらない。開幕当初のローテーションは、宮国、菅野、内海の順で回った。「若い子の後は投げにくい。みんないい投球をするし、プレッシャーは半端ない。でも、若いときは、自分もそうやってやってきたから」と打ち明けた。ライバル心が無いわけじゃない。でも本音を隠して、リーダーシップを持って、普段通りに明るく振る舞う。広い心で後輩を包み、結果を出す。エースとして何が最善か理解している。

 交流戦前の最終戦。節目はやっぱり内海だった。9回のマウンドは「ちょっと交代かなという雰囲気もあったけど、監督から『(8回を)3人で終わったらいこう』と言ってもらった。疲労感は全くありません」と、心地よさだけが全身を支配した。これで23イニング無失点で、積み上げた勝利は99。おかん、大台も一気に決めるから見といてな!【為田聡史】

 ▼巨人が5月5日広島戦に次いで今季2度目の1-0勝利。5日の試合も内海が8回を0点に抑えて白星を挙げており、内海は2試合続けてスコア1-0の試合で勝利投手となった。巨人で2試合続けて1-0の試合で白星を挙げたのは82年江川が7月21日広島戦、8月6日中日戦で記録して以来、31年ぶりだ。これで内海は4月28日ヤクルト戦から23イニング連続無失点となり、06年8~9月にマークした自己記録に並んだ。次回の登板で通算100勝と連続無失点の自己記録更新を狙う。