<DeNA4-9ロッテ>◇25日◇横浜

 マリンガン打線の号砲は、ロッテ今江敏晃内野手(29)の1発だった。1回2死一塁、内角低め132キロをすくい上げ、左翼スタンドへ先制2ランを放り込んだ。「いい感覚で振れました。初回の先制は大きい。交流戦は初戦を取る取らないで全然違いますから」。開始早々に火を付け、12安打9得点の先行逃げ切り勝ちをもたらした。

 4番不在のチームにやっと現れた本命だ。15日の巨人戦でプロ初4番に抜てきされてから4本塁打。4番での打率は4割1分7厘に達した。大砲不在、毎日オーダーに悩んでいた伊東監督も「あいつが仕事をしてくれて、やっと落ち着きつつある」とひと安心した。

 好調の陰には秘密道具があった。それは巨人坂本の白いバット。坂本がWBC後に新調したバットを譲り受け、交流戦前最後の楽天戦でサヨナラ打を放った。84センチの新しい相棒は今江のものより約1・5センチ短く、ヘッドをくりぬいた構造で重心が低い。「大振りしていたのがコンパクトに振れる。今の自分にすごくマッチする」とほれ込み、23日の試合後には同じタイプを新たに発注したほどだ。

 開幕直後は不振にあえぎ、4試合連続スタメン落ちを経験。ストライクを見逃し、打てないボールに手を出す悪循環から見事に抜けだした。8回にはダメ押しの9点目を挙げ「やっぱりクリーンアップが打つと変わりますね」。PL学園3年時までずっと4番だった男が、12年ぶりの“打の主役”で輝きを増している。【鎌田良美】