<阪神7-1日本ハム>◇26日◇甲子園

 虎投の女房は、やっぱり男前だ。阪神藤井彰人捕手(36)が今季2度目の猛打賞、守っては17歳下の「ダンナ」藤浪をしっかりリードした。藤井劇場の最大の見せ場は今季初のお立ち台だった。身長差27センチの凸凹コンビで登壇すると、持ち前の話術を発揮。11年7月に「顔しか取りえがない」と宣言した男前発言、再びだった。

 藤井彰

 久しぶりです。藤浪は台に乗っているんですけど、僕は低いところに立っています。2年前も言いましたけど、顔しか取りえがありません。

 確かに、かっこいい仕事ぶりだった。1回、5連打で4点を奪いなおも1死一、二塁。「しゃかりきに打っちゃダメ」な軟投派の武田勝から左翼フェンス直撃の2点二塁打を放った。右打ちが続き「そろそろ内にくるころ」と配球を読んだ。藤浪先発の試合は18打数8安打、打率4割4分4厘とバックアップ。リードもさえた。藤浪が不調と判断するや、多めに直球を要求。「パの打者は真っすぐを狙ってくる。微妙に動く球に助けられた」と振り返ったが、動く球筋を知り尽くしているからこその配球だ。

 お立ち台のあいさつは前振り。締めの一声を託されたベテランは役者だった。

 藤井彰

 ちょっといいですか。2年前に顔しか取りえがないと言ってからケガもありました。考えた他に取りえがないものか。見つけました。やっぱり顔しかありませんでした!

 攻守だけでなく、ナニワテイスト満載のトークで満員の甲子園を沸かせた。味わい深い虎の司令塔は「目指すところは頂点」と頼もしい36歳だ。【近間康隆】