<日本ハム3-11DeNA>◇2日◇旭川

 ウイニングボールを握り締めながらのヒーローインタビューに、喜びがにじみ出ていた。DeNAのルーキー三嶋一輝投手(23)が8回3失点で、先発転向5試合目で念願の初勝利。「自分が投げる試合は負け試合ばっかりだった。1つ勝つことがこれだけ難しいことなんだな、と。すごくほっとしました」。マウンド上と同じポーカーフェースでも、その言葉にうれしさが漂った。

 闘争心はボールに込めた。2回に2ラン浴びた佐藤には、その後の3打席全て三振を奪いやり返した。直球、スライダー、スプリットで攻めの投球を貫いた。これで4試合連続で8回を投げ、失点は3点以内。抜群の安定感とスタミナも見せつけた。

 計52回2/3を投げて奪三振数は61。規定投球回に1/3足りないが、巨人菅野に次ぐリーグ2位相当の数字だ。奪三振率10・42はその菅野を上回る。三嶋は「三振にこだわりはないです。結果的に取れているだけ」と話すが、その投球スタイルは中学時代に養われた。

 軟式野球部だった福岡元岡中学時代の監督の赤池潤氏(40)は「とにかく三振を取りに行け」と指示したという。「声を出せといっても、なかなか出さない子だったけど、負けん気は他の子の2倍、3倍。だから、その闘争心で攻めることを伝えました」。

 ピンチになっても臆せず投げ込んだ138球。頼もしいルーキーは、「自分らしく堂々と投げて、これからのチームに貢献したい」と力強く宣言した。【佐竹実】

 ◆三嶋一輝(みしま・かずき)1990年(平2)5月7日、福岡県生まれ。福岡工では高3春に九州大会優勝。法大では1年秋に東京6大学史上最速の155キロをマーク。4年秋は4勝0敗、防御率0・89でリーグ優勝の原動力に。リーグ戦通算13勝8敗。12年ドラフト2位でDeNA入団。176センチ、75キロ。右投げ両打ち。今季推定年俸1200万円。